このところ、大企業による不祥事が相次ぎ、記者会見で社長をはじめ役員が勢揃いして頭を下げる姿をよく見かけます。
このように、会社が不祥事を起こした場合は役員がなんらかしらの責任をとるのはよくある話です。これは中小企業も例外ではありません。
損害賠償請求などをともなう不祥事は何も大企業に限ったものではありません。
マスコミで報道されることは少ないものの、中小企業においても製品回収を始めとした不祥事などが数多く起きています。
このように不祥事を起こした場合、「誰がどのように責任をとるのか?」が問題になります。
最も重い場合で、代表取締役や全役員の辞任なども挙げられますが、一般的なものとしては、役員が役員賞与を辞退することでしょう。
ただ、役員賞与の受領辞退が現実のものとなった場合、その税務処理に戸惑う会社は少なくありません。
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法人税の課税関係では、株主総会において支給決議があっても、その総額を決定するに止まっている場合には、各役員個人別に支給額が確定した段階で、賞与としての流出があったものとされます。
このため、各人別に確定する前に受領辞退があったときには、結果的に配分されなかった金額は「流出がなかったもの」として取り扱われることになります。
もちろん、受領辞退に伴う債務免除益の計上も必要ありません。
所得税についても、支給期前に受領辞退の意思表明が行われていれば課税問題は発生しません。
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