このほど、国税庁は「新株予約権を用いた敵対的買収防衛策に関する原則的な課税関係について」という通達を公開しました。
これは、ライブドアのニッポン放送株取得の問題以来、話題になっているポイズン・ピルへの課税関係を明らかにしたものです。
ポイズン・ピルについては、さまざまな問題点も指摘されていますが、最も現実的な敵対的企業買収策として注目されており、6月の株主総会では、多くの企業が導入を検討しているとみられています。
ポイズン・ピルは敵対的企業買収の対抗策の1つ。
敵対的買収を仕掛けられた場合にのみ行使できる「新株予約権」を発行し、一定割合以上の株式が買い占められた時点で、大量の新株を買収人を除く既存株主に市場価格よりも安く発行できるようにします。
そうなると、買収人の持株比率は低下しますし、また買収総額も大幅につり上がるため、結果的に敵対的買収を抑止できるわけです。
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ここで問題になるのが、この「新株予約券」の発行が課税対象となるかどうかです。
経済産業省ではポインズン・ピルの導入例として、「買収人に事前警告が不調に終わった場合、自ら新株予約権を既存株主に付与する例」「信託銀行に新株予約権を発行しておき、信託銀行が既存株主に付与する例」「特定目的会社(SPC)に新株予約権を発行し、SPCが信託銀行に信託、信託銀行が既存株主に付与する例」を示してますが、国税庁では、これら全てについて、買収者が登場する前は所得税、法人税、寄付金課税などがかからないとしています。
課税されるのは、 実際に新株予約券が付与され、株主が利益を得た場合ということになるわけです。
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