保証協会の保証付き融資が厳しくなりそうです。
本記事によれば、2007年10月より、保証協会の融資保証のカバー率を、現在の100%から80%に縮小するとのことです。
金融機関にとっては、保証協会の保証付き融資であれば回収が不能となった場合も、今までは損失の全額を保証協会が肩代わり(代位弁済)してくれていたが、本年10月以降の契約分からは損失の20%を負担しなければならなくなる。
これは、金融機関の融資スタンスを厳しくするという点から、中堅・中小企業にとってかなりのネガティブ・インパクトが予想される。
経済産業省が、敢えて中堅・中小企業の支援的施策を後退させる背景としては、金融機関のモラルハザードにあるという。
特に98年の貸し渋り対策として出され多額のロスを発生させた「特別保証」の影響が大きいようだが、銀行で実際に融資業務を経験した筆者としては、この政策変更は非常に残念に感じる。事由は、下記の通りである。
■現段階においてリスク−リターンの考え方が十分浸透しているとは言えない金融機関にとって、20%とはいえロス発生懸念があるということに対し、かなりネガティブな対応が予想される。
■従って、保証協会が全額融資保証するということが、中堅・中小企業の支援策として極めて効果が高いものと考えられる。
■「特別保証」による多額のロス発生は制度的な欠陥によるものであり、必ずしも金融機関の対応が悪かった訳ではない。大部分の金融マンは、保証協会の保証融資に関して、制度に則り比較的厳格に運用している。
起業して間もない時期、また資金繰りが多少なりとも苦しくなった際等々、銀行のプロパー融資が受けられない段階で、保証協会の融資保証に助けられたという中堅・中小企業は結構多いだろう。
経済産業省にこの制度改定を再検討していただきたいと考えるが、ほぼ決定されている模様であり、中堅・中小企業としては今から対応策を考えておく必要があろう。
対応策としては金融機関から信頼を得るという点に尽きるが、金融機関にとって安心できる融資先というのは、決算が業績を正確に表しており、それがタイムリーに掌握できる企業である。
即ち、業績が悪化する兆候が見えた際に早めの対策が打て、逆に業容が拡大している際にはビジネスチャンスを取り込める取引先である。
企業の対応として、具体的には、
@経営数値計画を作成し予実管理を行う
A精度の高い月次決算をスピーディに(翌月10日以内レベル)行う
B決算の正確性を何らかの形で担保する
ということが効果的である。これらは、本来、会社が成長していくためにも必要不可欠の事項であり、自社を守っていくためにも是非とも行っていただきたい対策である。
|
|
|