毎年8月になると、税を主財源とする一般会計について、各省庁が翌年度分の歳出配分額を財務省に要求する「予算概算要求」が出揃います。
ここで出された要求額は財務省との調整を経て大枠が決められ、暮れに向けて本格化していく税制改正論議においても、基礎的財政収支(プライマリーバランス)という重要なテーマの基となるわけです。
今回、国税庁から出された平成20年度予算概算要求額によると、来年度の予算要求額は7368億5900万円。これは平成19年度当初予算と比べると1.7%増となり、金額でいうと123億9800万円増えていることになります。
もっとも増えているのは、「職場環境整備経費」で37億5100万円増の107億9900万円。次いで「納税者利便向上経費」が20億5400万円増の144億600万円、「情報化経費」が11億1900万円増の491億800万円の順です。
逆に「税制改正関係経費」は、30億9500万円減少して3億4700万円になっています。
「職場環境整備経費」に含まれているのは、震災対策経費や庁舎の整備経費などで、おそらく耐震基準に満たない庁舎等の新設・改修等の費用があると思われます。
また、「納税者利便向上経費」に含まれているのは、国税電子申告・納税システム(e-TAX)や国税庁ホームページの運用経費や、税務相談事務を行う電話相談センター関係の経費です。
これらの経費は、納税者の利便性を向上させる経費として国税庁がもっとも力を入れているところです。「税制改正関係経費」が減少しているのは、今年度の同経費が減価償却制度の見直しや信託法の改正、三角合併の解禁といった大型の改正等があったために膨らんだことによるものだと思われます。
なお、経費の多くを占めると思われるのが人件費ですが、人員数については「必要最低限」として1053人の増員(純増39人)の要求となりました。
ただ、平成17年10月4日に閣議決定された「新たな定員合理化計画」では、国税庁の合理化目標数が1014人と定められています。これについては、少し議論の的になるかもしれません。
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