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同族会社の行為計算否認はどこで使うか

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 税務署長の権限で行われる「同族会社の行為計算の否認」(法人税法132条)の適用に関して、多くの納税者が困惑しているようです。

というのも、条文規定も抽象的で、その全容がベールに包まれているためです。
 ただ、事例から適用に関して推測してみることができます。

 まず条文中にある「法人税の負担を不当に減少させる」というくだりですが、その「不当」について判例では、「同族会社であるがゆえに容易になし得ること」(同族非同族対比基準)、「経済人の行為として不合理・不自然であること」(合理性基準)という解釈をしています。

 たとえば、昭和40年5月12日の東京高裁判決では、「法律的には一応適法であるとしても、それが通常の法人経理においてはなされなかったと思われるような不当なものであり、これを容認することが社会通念上一般の法人との間に課税の均衡を失すると判断される場合」として、前者の立場を採用。昭和49年6月17日の東京高裁判決では「取引当事者が経済的動機に基づき自然、合理的に行動したとすれば普通とったはずの行為形態をとらず、ことさらに不自然、不合理な行為形態をとることにより法人税回避の結果を生じた場合」として後者の立場を採っています。

 さらに、後者の「不自然、不合理な行為形態」については、「それが異常または変則的で租税回避以外に正当な理由や事業目的が存在しないと認められる場合のみでなく、特殊関係のない独立当事者間で通常行なわれる取引とは異なっている場合も含む」(租税法第9版)との見解をしています。

 こうした解釈により行為計算の否認規定が適用された事例としては、従業員に対する退職金が過大であるとして過大部分の損金算入を否認したもの(昭和62年1月26日高松高裁)、役員への無利息貸付につき利息を認定したもの(昭和36年2月27日東京高裁)、代表者の父親から買い受けた土地を父親の死亡後に相続人に売り戻した行為を否認したもの(昭和60年6月18日最高裁)―などがあります。

(エヌピー通信社)




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