川島会計事務所SiteMap
川島会計事務所
 
HOMECONTENTSタックスニュースタックスニュース平成24年タックスニュース 2009.01.06


現金主義会計のすすめ

戻 る(平成25年の記事一覧へ)
1.何故に小規模零細企業は経理帳簿の作成が遅れるのか?

だから小規模零細企業なのか?

 「企業にとって、あるいは事業にとって経理とは何か?」という質問には幾つかの答えが帰ってくると思います。

「経営の結果を計数化したもの」あるいは「企業の現状を数字で表現したもの」もっと簡単に「幾ら儲かっているか知るための手段」「企業の通信簿」等々上げれば切りがないくらい有ると思います。

それだけ経理帳票には多くの情報が含まれているのに、何故小規模零細企業の経営者は、月次の試算表や、決算書をキチンと作ろうとしないのか?あるいは作っても遅れるのか?

 ようは経理帳票の重要性を理解せずに、経理帳簿の作成を蔑ろにしているから、いつまで経っても小規模零細企業なのではないか?といった考えが一般的な結論だと思います。

確かに私の経験から言っても、大企業とは言わなくても、成長している優良企業は、様々な帳票をキチンと付けていて、整理整頓が良くされており、月次の経理処理もスピーディーです。

しかし逆に経理帳簿をキチンと付ければ企業は儲かって大きくなるのか?と言えば、そんなことは有りません。
商売と経理帳簿は何の関係もないのです。

経理帳簿の作成を何故蔑ろにするのか?

 では何故小規模零細企業の経営者は、月次の試算表や、決算書をキチンと作らないのか?あるいは作っても遅れるのか?

その原因を結論から言えば、経理帳簿は小規模零細企業にとって必要がないからです。

そんな「馬鹿な!」とお思いの方もいらっしゃると思いますが、先の「経理とは何か?」といった質問の本当の答えからすると、必要がないのです。
経理の本質はその生い立ちにあります。


経理とはユダヤの商人が考えたもの

 ここで言う「経理」とは「複式簿記に則った制度会計」と理解してください。

複式簿記とは現在商業高校や簿記学校で教えている最も完成された、帳簿の記帳方法です。

制度会計とは国が認めた経理の処理方法(法律により若干の違いはありますが、一番一般的なのが、税法)です。

 経理のそもそもの起源は、大航海時代に有ります。
大航海時代の商人は、船を仕立てて積み荷や食料や船員を雇い入れ、遠くアフリカやインドへ出向き、香辛料や宝石を安く仕入れ、それをヨーロッパで換金し儲けたわけです。

 しかし大変危険を伴い、命を落としかねないリスクのある航海です。
リスクが高い分儲けも多かったのだと思います。

 ですから儲けようと思った商人達は、決してそんな航海には行きません。
航海に出て行ったのは、命知らずの何処の馬の骨とも知らない荒くれ者です。

そんな荒くれ者ですから取引した商品を隠し持ってはいないか?積み荷をごまかしてはいないか?商人たちは、全く彼らを信用していません。

彼らを監視しごまかしようのない管理方法は無いかと知恵を搾って考えたのが、複式簿記による帳簿作成だと言われております。

ですから経理の本質は、取引現場にいない者が、取引が正しく行われたか否かを管理し監視するシステムなのです。

 経理に携わる者がよく、帳簿が○円(たいした金額ではなくても)合わないとか言って四苦八苦する事を聞きますが、それは取引の不正を監視するという経理の本質から来るもので、1円でも合わなかったら何処かに間違いなり不正があるということなのです。


経理は自分で自分の首を締める行為

 小規模零細企業の経営者は自ら取引現場の先頭に立って一番良く取引の実態が解っております。

ですから小規模零細企業の経営者にとって経理業務とは、自分で自分の取引が正しく行われたか否かを管理し監視する行為なのです。

自分で自分の首を締めているような行為なのです。
ですから必要がないし、煩わしいし、出来ればやりたくないのです。

 経営者は経営にとって必要のないのもには自ずと金はかけません。
特に現在のような経営環境の厳しい時代にはそれはごく当たり前の行為なのです。

逆に大企業とは言わなくても、成長している優良企業は、様々な帳票をキチンと付けていて、整理整頓が良くされており、月次の経理処理もスピーディーなのは、そうしないと現場の取引が判らなくなってしまうと言う必要に迫られての行為なのです。

結果として経理業務がスピーディーでキチンとしたものになるのであって、よく会計事務所の先生が、管理会計や未来会計をしないと企業は成長しないようなことを言いますが、企業の成長と経理とは何の関係もありません。

小規模零細企業の経理は奥さんに

 しかし小規模零細企業の中でも比較的よくやっている所もあります。
それは、しっかり者の奥さんが経理をやっているようなところです。

奥さんは、取引現場には行かないので、そこで旦那が何をやっているのかわかりません。
別の意味での心配も含めて、比較的キチンと経理業務をこなしている場合が多々あります。

また奥さんの実家や父親がやっていた家業を、息子や婿養子である旦那さんがやっているような場合は、両親や実家に報告する必要があり、本来の意味で経理業務が必要となるのです。


経理業務を必要とする環境作り

 ですから小規模零細企業が経理業務をキチンとやるには、必要とする環境を作る必要があるのです。

必要とする環境作りと言っても、オーナー経営者の場合は、上記の例外を除いては、企業自身で必要な環境はなかなか作れません。

やはり外圧が必要です。
遅れながらもあるいは年に一度は、経理業務を行い決算申告書を提出しているのは、国民の義務である、納税の義務が有るためであり、税務署(法律)という外圧があるからです。

金融機関の環境作り

 外圧と言うと税務署の次が、金融機関です。
「金融機関から資金を借りるので、大至急試算表を作って貰えませんか?」と言う依頼を良く受けます。

金融機関が資金を融資するときだけでなく、毎月キチンと試算表を提出するよう指導すれば、かなりの外圧となると思います。

 よく言われるように、これからは土地を担保にではなく事業そのものに融資する時代で有れば、貸し手責任としても事業の推移を管理する必要があります。

何故金融機関は毎月の試算表を要求しないのか不思議でなりません。

どんな立派な経営者と言えども人間ですから、全く管理されないで、経営を行えば程度の差はあれ、やはり放漫経営になってきます。

毎月試算表を提出させ、事故無く返済を済ますことは、借り手と貸し手のお互いの利益であり、優良な貸出先を育てる事にもなると思います。

税務署(法律)も義務としてだけではなく、青色申告の優遇措置等キチンと帳簿を作成した場合の特典を付けたり、色々工夫をしております。

金融機関も毎月試算表を提出する顧客には金利を低減する等の特典を与えても良いのではないでしょうか?

コスト面での環境作り

 月次に試算表を作成しようとしても、小規模零細企業では経理のできる人を雇うほど資金的余裕は有りません。

また有ったとしても、本来必要のない業務のため、そういった所に金をかけようとはしません。

現在の制度会計は「発生主義会計」です。
しかし経理知識や企業の安全性を考慮すれば、「現金主義会計」を導入することで、経理のできる人でなくても簡単に試算表を作成することができます。

また会計事務所等へ外注に出す場合でもコスト面でかなり安くできるはずです。


2. 現金主義会計とは?

現金主義会計とはキャッシュフロー会計のこと。

 現金主義会計というと、なにか前近代的な会計のように聞こえますが、資金繰りを中心としたキャッシュフロー会計とは、まさに現金主義会計のことなのです。

 キャッシュフロー会計とは、本来資金収支を重視した会計であり、企業の安全性を重視した会計です。

「勘定合って銭足らず」と言った発生主義会計(制度会計)の弱点を補うためにこのところもて囃されております。

現金主義会計と発生主義会計

 現金主義会計と発生主義会計(制度会計)の違いを簡単に売上を例にとって説明しますと、発生主義会計では、商品の引渡しをもって、売上の発生と捕らえます。

しかし商品の引渡しと言っても、その方法は様々です。
小売りであれば、当然現金と交換になるでしょうが、信用取引の場合は、何日締めの何日払いということで、付け(掛け)で伝票だけで引き渡す場合もあります。

また割賦販売のように、頭金だけ貰って、残りは分割という場合もあるでしょう。

 それに対して現金主義会計では、現金(キャッシュ)の入金を確かめて初めて売上となるのです。
ですから掛けで幾ら売っても売上にはならないのです。

売上の計上一つ取っても、企業の安全性を考えると、現金主義会計の方が、より安全な経営状態を把握できるのです。


仮装経理は発生主義の方が楽

 また現金主義会計では、キャッシュの動きが中心ですから、経理操作による架空の利益や経費の計上が困難なのです。

どういうことかと言えば、発生主義での売上の計上は、(売掛金)/(売上)と言う伝票処理になります。
このような取引は伝票1枚で計上可能です。

しかし現金主義では(現金)又は(預金)/(売上)という伝票処理となります。
この場合は必ず現金や預金が動きますので、単に伝票だけでは計上できません。

 特に売上のような主要な資金は必ず預金を通すようにしておけば、まず仮装経理の心配はありません。

現金主義会計は出納帳記帳なので簡単

 また先に「現金主義会計は、経理知識が無くても簡単に試算表を作成することができ、会計事務所等へ外注に出す場合でもコスト面でかなり安くできる。」とお話ししました。

どういう事かと言えば現金主義会計は、お金の動きが中心になりますので、現金と預金の出入りを時系列に記帳(出納帳記帳)して行けばよいからです。

更に必ず預金を通して資金を動かしておけば、預金通帳を写せば良いのです。(但し左右逆です。)
振替伝票や、仕訳の知識や概念が無くても基礎資料は充分作成できます。

 基礎資料さえできれば、試算表や元帳への展開はコンピューターがやってくれますので、会計事務所等へ外注に出す場合もコスト面で安くつくはずです。

また昨今のパソコンの普及により、簡単な経理ソフトや出納帳ソフトも出回っておりますので、そういったものを利用すれば、より安く簡単に出来ると思います。


現金主義会計の留意点

 ここまでは現金主義会計は良いとこばかりの様にお話ししてきました。
確かに現金主義会計は簡単で良いのですが、しかし注意しなければならない点も幾つかあります。

取引の実態を記帳する。

 現金主義会計と言えども、経理記帳ですから、どういった取引なのかが解る必要があります。
経理記帳は、現場に居ない人に現場の取引を正しく報告することを目的としている訳ですから、取引の実態を記帳する必要があります。

え!売上は9,265円

 売上を例にとってご説明します。10,000円の商品を売上、後日振込にて入金があったが振込手数料が引かれていた様な場合を想定しますと、発生主義では次の様な処理となります。
  売上時:(売掛金)10,000/(売上)10,000
  入金時:(預金)9,265/(売掛金)10,000
        (雑費) 725/
雑費は振込手数料が引かれた分です。

 現金主義の場合は、入金時に売上を計上しますから出納帳で記帳している場合、ややもすると預金出納帳の記帳は以下の様になります。
   摘 要 相手科目 入金 出金
  ○○商店売上 (売上) 9,265
しかしこれでは、10,000円の商品を売ったことにはなりません。正しくは以下となります。
   摘 要 相手科目 入金 出金
  ○○商店売上 (売上) 10,000
  振込手数料 (雑費) 725
考え方としては、一度10,000円を貰って、振込手数料を支払ったと考えます。


総額で記帳、相殺金額は留意する。

 こういった取引は、時々出てきます。
先の売上の例の他に、給与の支払時に源泉所得税等を預かる場合や、有償支給材等を売上から控除されている場合や、手形の割引時に割引料を差し引かれるような場合です。

しかしこういった取引の基本は、総額を確認し、何が幾ら相殺されたのかがわかれば、入金と出金の両方に記入することで、充分に解決できます。

納税額は幾らになるのか?

 現金主義で経理をしていると、もう一つ困った問題が発生します。
それは「税金は払うのか、あるいは払わなくてよいのか、払うとしたらどれくらいなのか」を現金主義の試算表の利益でみているとおおよそ見当違いになるということです。

何故ならば、税金計算の基になる利益は、発生主義(制度会計)の利益だからです。
しかし多くの経営者は、発生主義ベースの売上がわかれば、直感で発生主義の利益は判るものなのです。
そして往々にして、経理が発生主義でやっていたとしても、経理のはじき出した利益より、経営者の直感の方が当たっている場合の方が多いのです。

経営者の発想

 経営者の利益のはじき出し方は簡単です。
まず売上が幾らかが判れば、売上に粗利益率を乗じて、粗利益が幾らになるかを予想します。

そしておおよその1ヶ月の経費(固定費)を、経営者はほぼ把握しておりますので、1ヶ月の経費×経過月数で経費をはじき出し、粗利益から引けばそれが利益です。

この考え方は、中途半端な発生主義による経理よりはずっと正確に利益を算出できます。


3 納税額は戦略会計で別に把握

戦略会計とは?

 経営者の発想で利益をどう求めるのかをご説明したときの図は、STRAC図(図@)と言います。
STRACとはStrategic(戦略的な)の略称です。

元来直接原価計算の発想に基づいて考えられた図です。

専門的な事は知らなくても、経営者は自ずと戦略会計の発想を持っているのです。

と言うよりも、経営者の発想に近い会計の手法を戦略会計と名付けたのだと思います。

現金主義会計から戦略会計へ

 現金主義会計の試算表を基に、発生主義ベースの利益をどう求めるかを図@を使ってご説明いたします。

 @売上を把握する

まず現金や預金の入金ベースでない発生主義ベースの売上を求めます。

これは経理や帳簿作成とは別に、集計する必要がありますが、幾ら売上げたのかは経営者の最も関心のあるところですから、経営者は必ず把握しているはずです。

逆に把握していないような経営者は要注意です。

 A変動費を把握し粗利益を求める

売上が把握できたら、その売上の原価率を把握します。

決算書等の原価率でも良いのですが、正確に把握しようとするなら、商品毎や得意先毎の原価率が解ればなお良いと思います。

この場合は当然売上も商品毎や得意先毎の把握が必要です。

売上に原価率を乗じて変動費を求めます。

小売や卸売りやサービス業等の場合は原価率で良いのですが、製造業の場合は制度会計で言うところの製造原価の原価率ではなく、材料費や外注費や仕入部品等と言った、売上の増減に比例する原価率(変動費率)を求めてください。

ですから一般的な原価率と区分して変動費や変動費率という名称を使っております。

売上から変動費を引いた答えが粗利益です。正式には付加価値あるいは限界利益と言います。

 B固定費を把握する

これは現金主義会計の試算表の金額で把握すれば充分です。

固定費ですから月次に大きく変動することはありません。

発生主義に比べ概ね1ヶ月の遅れとなっていると理解していれば良いと思います。

しかし急成長しているところは固定費も1年間で大きく膨らみます。

概ね1ヶ月の遅れですから、期首の月の固定費は最新月の固定費に直しておく必要があります。

また固定費が大きく変化したときはその原因を把握しておいてください。(税金の支払等税務上経費とならない場合があります)

更に固定費を把握するのに、人件費とその他の経費は別けて把握した方が後で分析をするのに便利です。
必要があれば支払利息等も別けて把握しておいた方が良いでしょう。

また減価償却費や賞与については、月額を計算して加算しておくのも良いでしょう。

 C利益を求める。

粗利益から固定費を引けばそれが利益です。

この様にして求めた利益の方が、月次の棚卸しが抜けていたり、償却費や引当が漏れているような中途半端な発生主義会計で求めた月次の試算表の利益よりずっと正確です。


4 売掛金と買掛金

売掛・買掛の管理は、商売の基本です。

 よく言われることで、現金主義会計では売掛金や買掛金が判らないという意見があります。

確かに現金主義では売上の計上を入金時に立てていますから、商品の引渡し時に売上を立てませんので、(売掛金)○○○/(売上)○○○といった取引は発生いたしません。

 売掛・買掛と言うと経理業務のように思われがちですが、現在の複式簿記による制度会計が定着する以前より、売掛・買掛は商売の基本として、大福帳等で管理されてきております。

■売掛と買掛の管理は経理業務か?

 お客様に幾ら売ったのかその代金は回収されたのかまだ残っているのか?といった管理は基本的には経理業務というよりも営業の業務と言った方が良いのではないでしょうか?

また買掛金については、何を幾らで買ったのかその請求は間違っていないのかをチェックするところまでは、購買の仕事です。

OKが出て支払日に支払うのは経理業務であろうと思われます。
中小零細企業の場合は、往々にしてこれらの業務を1人でこなしておりますので、混同が生じるのです。(


経理の売掛金と売掛金管理台帳の売掛金は必ず合わない

 多くの企業では、発生主義で売掛金を立てている場合でも、売掛けの管理は請求書の発行を伴いますので、別途に管理されている場合がほとんどです。

 そうなりますと今度は、経理の売掛金の残高と、別途に管理している売掛管理台帳の合計の残高とを合わせる事が大変な作業となる訳です。

経験的に言いますとまず何もせずに合った例がありません。
何故合わないかというと、以下のような方法で管理しているかです。

 売掛金の発生は営業→経理に情報が上がり、回収は入金を見て経理→営業に情報が上がるからです。

1つの帳票を一元的な方法で管理せず更に各々が、各々に売掛台帳を記載しているからです。

ある程度の規模の企業で、売掛係がいるような場合は良いのですが、いないような場合にはどちらかに統一しないとまず合いません。

 どうしても合わない場合は、結局売掛管理台帳に合わせて経理の売掛金残高を修正するようになります。

何故なら請求書の発行を伴う売掛管理台帳の方が、顧客の検証があるため客観性が確保されるからです。

そんなことに余分な労力を使うのなら、経理では売掛金を立てずに、売掛管理台帳の管理をキチンとした方がよほど正解です。

どうしても売上・仕入は発生主義にしたいと言う場合は、現金主義で記帳し、月次に月初の管理台帳の残と月末の管理台帳の残を洗い替える方法をお勧めします。


売掛金計上と言っても厳密には発生主義ではありません。

 どういうことかと言うと、発生主義で売掛金/売上の計上をする場合は、往々にして請求書から計上いたします。

請求書の請求金額は必ずしも1ヶ月(1日〜月末)の売上とイコールでは有りません。
何故なら締め支払を顧客の都合に合わせているからです。

10日締め翌月20日支払とか20日締め当月末支払等、請求書は締め日〜締め日までの売上で、必ずしも1ヶ月の売上を表しているわけではなく、顧客によってもまちまちの締め日の合計にすぎないという事です。

決算で締め日以降の売上や仕入を抜き書きしているような場合はこれに当たります。

 こういった中途半端な発生主義で経理業務を煩わしくしているのなら、管理台帳をキチンと整備して、現金主義で記帳した結果に月初の管理台帳の残と月末の管理台帳の残を洗い替える方法を取った方が正確な発生主義の売上がつかめます。

 仕入の場合はこちらが支払側ですから、こちらの締め日に統一できますが、締め日が月末でない限りは厳密には発生主義の仕入れではありません。

コンピューターによる連動管理

 最近ではパソコンの普及により、経理業務と売掛管理や買掛管理が連動するソフトやシステムが色々販売されております。

当然使いこなせるので有れば、経理の売掛金の数字と売掛管理台帳の数字は連動しておりますので、売掛金の残高を合わせる手間も省け非常に便利です。

 仕入・買掛・在庫管理等も連動しており、売掛同様使いこなせれば便利です。
「使いこなせれば」と強調したのは、コンピューターの導入一般にも言えることなのですが、時として勘違いするからです。


@「旧来より売掛管理をキチンとし経理の売掛金の残高も毎月確認し、キチンと合っているが、非常に手間が取られ人件費も馬鹿にならない、そこでパソコンの売掛管理システムを導入し経理と連動させその手間を省きたい。」

A「旧来より売掛管理がずさんで、経理の売掛金と合わせたこともない。
売掛金の請求も時として間違ったりしてお客様に間違いの指摘を受けることが有る。
決算時に何とか合わせて申告をしている。
そこでパソコンの売掛管理システムを導入し経理と連動させ売掛管理をキチンとさせたい。」

B「当社は中小零細企業で人手もなく売掛管理が出来なかったが、今後はパソコンの売掛管理システムを導入し売掛管理をやってゆきたい。」
  
 @の場合は上手く使いこなし、売掛管理システムの導入は上手くいくと思います。
 ABの場合はまず使いこなせず、経理や売掛管理は余計に混乱し、失敗するでしょう。
 どういうことかと言えば、パソコンは確かに便利な道具です、しかしあくまでも道具なのであります。

道具というのは、出来ることがより簡単に迅速にシンプルに出来るようになるだけであって、出来なかったことが出来るようになる物ではないのです。

 計算機を買ったからと言って、算式を知らない人が、算式を組み立てることは出来ないのと同じことです。
コンピューターの導入において、経理に限らずついつい起こる勘違いですのでご留意下さい。


5 目的の無い知識には意味がない

何の為の経理業務なのか

 当社の経理業務は何の為に行っているのかを、その目的をまずは明確にすることが必要です。
 こう言われると、商売にはお金がつきものですから、金銭に関することは全て経理業務である。
あるいは計数的な事はすべて経理業務であるという勘違い生じるのです。

 確かに大きく括れば経理業務と言ってもよいのですが、ここで言う経理業務とは、商売上の取引を複式簿記の原則に則って、記録し集計し報告する、所謂「制度会計」のことと限定して見ましょう。

そうすると割りと目的はハッキリすると思います。
小規模零細企業では、概ね目的は、税務申告のためだけです。

 そうしたら今度はそれ以外の計数に絡む業務はどんな事があるのかを考えてみましょう、「給与計算」や「請求書発行」や「売上管理」等沢山有ると思います。
こういった業務は制度会計と無理矢理結びつける必要はないのです。

 こういった発想で一度経理業務を整理してみてください、きっと新しい方法が見つかると思います。


優秀な職員は結果を直感できる。

 私も会計事務所をやっておりますが、よく若い職員の拙さが目に付く場面があります。
例えば、決算予想を職員に義務付けていますが、職員は0ベースの積み上げで予想利益を出します。

しかし結果を見ると「おや」と思う利益が出ていたりします。
よく見ると売上が2〜3億しかなく粗利益が20%しかない企業で、何で交際費が2000万円もあるのか?
聞いてみると、桁数を間違えて計算しているのです。

 私はよく職員に言うのですが、「君たちの計算より社長の直感の方が正しい。」
どういうことかと言うと、計算には目的があるのであって、その目的を裏付けるための計算なのです。

 ですから本当に優秀な職員は、計算する前からおおよその結果は想定出来ているのです。

その結果を裏付けるための計算なのです。
ですから出た結果を見て自分の想定した結果と違っていた場合に「おや?」と思えるのです。

 どんなにコンピューターが発達しても、この自己検算能力は人間との決定的な違いであると思います。
そう思えない職員はまだまだなのです。


記事提供:税理士法人エム・エム・アイ 代表社員 高橋節男


記事提供:ゆりかご倶楽部
   川島会計事務所
人間中心のTAXを見つめています