新聞等で報道されていますとおり、政権交替で税制改正プロセスも様変わりし、政府税調が経済団体等から改正要望のヒアリングを実施しました。
平成22年度に向けた新政権下での税制改正作業は、与党議員で構成される政府税調が主体となって進められ、政府主導が鮮明となっています。
例として経済産業省からの要望の一部に、地域経済や雇用を支える中小企業の支援として下記のものが挙げられました。
◆中小企業向け法人税率の引下げ(民主党マニフェスト項目)
個人事業主への課税とのバランスに留意しつつ、政府全体として代替財源が確保されることを前提に、早期に引き下げる。
◆いわゆる「一人オーナー会社」(特殊支配同族会社)の役員給与に対する損金不算入措置の廃止(民主党マニフェスト項目)
租税回避の防止に留意しつつ、政府全体として代替財源が確保されることを前提に、早期に廃止する。
平成19年度分の同制度による税収額は推計で672億円といわれています。
さらに、委員からの求めで推計方法等の詳細についても報告がされました。
◆個人事業主の共同経営者の小規模企業共済制度への加入
小規模企業共済制度について共同経営者まで加入対象者を拡大する(掛金控除)。
◆中小企業倒産防止共済制度の拡充
連鎖倒産防止のための中小企業倒産防止共済制度について、共済貸付金の限度額を引き上げ、これに伴い損金算入が認められる掛金の限度額を引き上げる。
◆株式信託を活用した事業承継税制
事業承継税制の納税猶予の適用対象に株式と実質的に同一視できる信託受益権を追加する。
◆少額減価償却資産の特例の延長
中小企業が少額減価償却資産を取得した場合に即時償却を認める制度を延長する。
◆交際費の損金算入特例の延長
中小企業の交際費について損金算入を可能とする特例措置を延長する。
(注)上記は平成21年10月30日現在の情報に基づくものであります。
今後開催される税調で、平成22年度の税制改正に向けた審議が本格的に開始されることになっています。
≪日本の強みを最大限に活かしたイノベーション促進・成長力の強化≫
◆研究開発投資の促進
将来の成長の種となるイノベーションを生み出し、競争力の基盤となる研究開発を促進するため、研究開発促進税制・中小企業技術基盤強化税制について、試験研究費を増加させる企業又は試験研究費比率が高い企業に対する税額控除の上乗せ措置を延長
◆中小企業を中心とする設備投資の促進
中小企業投資促進税制の延長
情報基盤強化税制(設備を見直した上で延長)
◆グループ法人税制の整備
企業グループの一体的運営が進展している状況を踏まえ、連結納税制度の見直しを含むグループ経営の実態を反映した税制を整備
◆企業活動のグローバル展開を支える税制の整備
海外投資家による国内社債への投資促進(非居住者が受け取る社債利子の非課税化)
国際課税制度の見直し(外国子会社合算税制・移転価格税制の見直し)
≪資源・エネルギーの安定供給確保と地球温暖化対策の推進≫
◆「地球温暖化対策税」(仮称)に関する検討(民主党マニフェスト項目)
地球温暖化問題を巡る国際交渉や今後発生する追加的な財政需要をにらみつつ、負担能力、国際競争力への影響、化石燃料の炭素排出量、簡素な税制・徴税コストの最小化等の観点から運輸、産業、民生各部門に適した税制について検討を行う。
特に、産業・民生部門に対する課税のあり方については、排出量取引制度と一体的に検討する必要があるほか、固定価格買取制度等の他の施策との関係を踏まえ、全体としての対策の整合性を図りつつ、検討する必要がある。
◆自動車関係税制
環境性能の優れた自動車に対して自動車税の税率を軽減し、新車登録から一定年数を経過した自動車に対し重課するグリーン税制を見直した上で延長
環境性能の優れた自動車に対する特例措置に対象自動車の区分(2.5t〜3.5t)を新たに追加
◆資源開発促進税制
資源開発を促進するため、探鉱等の支援税制(減耗控除制度、海外投資等損失準備金)を見直した上で延長
(注)上記は平成21年10月30日現在の情報に基づくものであります。今後開催される税調で、平成22年度の税制改正に向けた審議が本格的に開始されることになっています。
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