政府は2010年6月から、脱税行為に対する刑事罰が詐欺などほかの経済犯罪に比べて罰則が軽いといった状態を解消し、
課税逃れの予防をはかるために、脱税行為に対する刑事罰を大幅に強化するとの報道がありました。
現状、所得税や法人税、消費税などの脱税に対する現行の法定刑は、
「5年以下の懲役、500万円以下の罰金」(脱税額が500万円を超える場合は、
脱税額が罰金の上限)となっており、「10年以下の懲役」である詐欺や業務上横領より罰則が軽い状態で、
今回は最高刑を現行の懲役5年から、2倍の懲役10年に引き上げるというものです。
有価証券報告書の虚偽記載(金融商品取引法)、無登録のヤミ金融(貸金業法)、知的財産権の侵害(特許法など)といった犯罪行為の罰則は次々に強化され、最高刑が懲役10年になった一方で、
脱税は1981年に懲役3年から懲役5年に引き上げられて以来、ずっと手つかずとなっていました。
脱税罪の法定刑引き上げは29年ぶりで、所得税法など関連の法改正案を、2010年2月上旬に国会に提出する方針です。
給与から所得税を源泉徴収する義務を負う事業主が税金を納付しない行為についても、罰則の上限を懲役3年から懲役10年に引き上げされます。
また、申告書の不提出や記帳義務の違反についても、罰金額の引き上げや懲役刑の新設によって罰則が重くなります。
近年、国税当局による脱税事件の告発件数は年150〜160件前後で推移していますが、1件当たりの脱税額は2006年度以降、増加傾向にあり、2008年度は約1億5,000万円に達しました。
国の財政が厳しいなか、政府は脱税の罰則強化で、税制への信頼を確保したい模様です。
法改正が実現すれば、2010年6月以降、主要な脱税行為の法定刑は「10年以下の懲役、1,000万円以下の罰金」となります。
これに伴い、刑事訴追の時効も5年から7年に延びるため、国税・検察当局が刑事事件として立件しやすくなるとの見方があります。
(注意)
上記の記載内容は、平成22年1月26日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
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