日本税理士会連合会は、2011年度税制改正建議書を決定いたしました。
それによりますと、税務に関する専門家として納税者の立場に立ち、税制に対する5つの視点、税制建議項目、中長期的な視点からの検討項目となっています。
5つの視点として、
@公平な税負担
A理解と納得のできる税制
B必要最小限の事務負担
C次代に適合する税制
D透明な税務行政を掲げています。
税制改正建議項目(所得税関係の要望)として、
@給与所得者に対する課税のあり方を見直す(高額給与所得者の給与所得控除について、一定限度額を定める。給与所得者に対する課税については、年末調整と確定申告との選択性とする。特定支出控除を拡充し給与所得者が確定申告を行う機会を増やす)
A所得控除を整理・簡素化する
B不動産所得に係る損益通産を制限する特例措置は、早急に廃止する
C土地建物等の譲渡損益の課税方式を累進税率による「所有期間を考慮したN分N乗方式」とし、他の所得との損益通算及び譲渡損失の繰越控除を認める
D退職所得に関して退職所得控除及び2分の1課税方式を見直すことを掲げています。
また、法人税関係の要望として、
@中小法人等に対する軽減税率適用の対象となる所得金額を引き上げる
A青色欠損金額の繰越控除期間を延長する
B受取配当等は、全額を益金不算入とする
C退職給与引当金及び賞与引当金の繰入れについて損金算入を認める
D交際費課税における交際費等の範囲を見直し、社会通念上必要な交際費等の支出は原則として損金算入するとともに、定額控除限度額内の10%課税制度は即時に廃止する
E少額減価償却資産の取得価額基準を引き上げる
F同族会社等の行為計算の否認規定における「税の負担を不当に減少させる結果」の意義を明確にすることを掲げています。
資産税関係の要望として、
@取引相場のない株式等の評価の適正化を図る
A相続税の連帯納付義務制度を廃止する
B同族関係者・特別関係者の範囲を個別に規定し、実態に即した課税要件を定める
C非上場株式等に係る贈与税及び相続税の納税猶予制度における諸要件を緩和することを掲げています。
印紙税関係の要望として、
@印紙税の課税文書の範囲を見直すことを掲げています。
地方税関係の要望として、
@個人住民税の所得控除の金額を所得税と同一とする
A外形標準課税制度は資本金1億円以下の中小法人には導入しないことを掲げています。
その他の要望として、
@更正の請求をすることができる期間の延長を行う
A納税者権利憲章(仮称)を制定することを掲げています。
中期的な視点からの検討課題としては、下記の5項目を取り上げています。
@法人税の課税ベース拡大と税率引下げについて
A消費税の改正について
税率引上げに際しては、税体系全体のあり方についての検討が必要であり、同時に歳出の見直しや行政の合理化を図るなど、国民の理解を得ることが重要としています。
B番号制度の導入について
税制と社会保障制度に共通の番号制度を構築すべきとしています。
C国税・地方税の申告納税の一元化について
地方税法上の申請・届出の様式を全国で統一する、電子申告・電子納税の環境を一層整備することが必要としています。
D配偶者の就労を阻害している制度の見直しについて
税制のみならず、社会保険制度と一体的に検討することが適当としています。
(注意)
上記の記載内容は、平成22年8月31日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、会計、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
記事提供:ゆりかご倶楽部
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