政府は、ガソリン価格の高騰が一定期間続いた場合、
ガソリン税の上乗せ課税を一時的に引き下げるトリガー制度を、東日本大震災の被災地が復興するまで凍結することを決めた旨の報道がありました。
この背景として、制度が発動されますと、少なくとも約4,500億円の税収減になるため、
制度を凍結することによって、震災復興の財源確保を優先させることにしたものと見られており、政府が閣議決定した臨時特例に関する法律案要綱に盛り込まれております。
玄葉国家戦略担当相は、記者団に対し、
「(制度が発動されれば)減収に加え、(ガソリン価格が大きく変動することで)東北のガソリン需給が混乱するおそれもある」と説明しております。
凍結時期については「被災地が復興するまで」としておりますが、
復興には長い期間が必要とされるとみられておりますので、このまま廃止される可能性もあるとの声も挙がっております。
※トリガー制度とは
民主党の2009年衆院選マニフェストで掲げた「暫定税率廃止によるガソリン価格引下げ」が実現できなかった代わりに導入された制度
例えば、ガソリンの全国平均小売価格が3ヵ月連続で1リットル=160円を上回った場合、
ガソリン税(同53.8円)のうち、「暫定税率」として上乗せされていた25.1円の課税を停止し、価格を引き下げます。
直近の全国平均小売価格は、同150円前後であり、発動が現実味を帯びてきております。
また、「ガソリン・軽油の価格上昇時に国民生活の負担を軽減すべく導入したものである。
しかし、このたびの東日本大震災により、被災地を中心に燃料不足が大問題となっている中、
トリガー条項を発動すると、日本中でガソリン・軽油価格を引き下げることになり、
逆に燃料受給を逼迫させ、被災地の復旧・復興の妨げにならないか強く懸念する」として、政府に一任されておりました。
なお、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案要綱においては、
消費税等関係のなかで「揮発油税及び地方揮発油税に係る『トリガー条項』について、
東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、
その適用を停止することとする」とされております。
今後の動向に注目です。
(注意)
上記の記載内容は、平成23年5月9日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
記事提供:ゆりかご倶楽部
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