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今年の税制改正 税控除と寄附文化の行方
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寄附金控除の今年の税制改正

(1)国、地方公共団体、日本赤十字社及び中央共同募金会等への義援金については、

総所得金額等の80%を限度に寄附金控除(所得控除)ができます。

(2)被災者支援活動を行う認定NPO法人等が募集する特定震災指定寄附金については、

もし寄附の全額がその特定震災指定寄附金だったら、総所得金額等の80%を限度に寄附額の40%を寄附金控除(税額控除で所得税の25%を限度)とすることができます。

(3)日本赤十字社や中央共同募金会、国などに義援金として寄付する場合にも「ふるさと納税」扱いとなり、住民税の寄附金控除の額が手厚くなります。

 以上の寄附金控除には国税で2000円、住民税で5000円の足切りがあります。

(4)6月30日施行の平成23年度税制改正で特定寄附信託制度が創設されました。

 非営利団体への計画的寄附を目的に金銭を信託した場合の寄附金控除と利子非課税の特例措置が設けられています。


寄附金控除に寄附促進効果があるのか

 寄附金控除の制度創設や拡充が日本の寄附文化の醸成に貢献しているか、についての関西社会経済研究所調査報告があります。

 ・震災から約3ヵ月間の1人当たりの寄附支出額は9443円でした。

寄附金を階級別にみると、最も割合で高いのは「2000円以上5000円未満」の19.0%で、

「1万円以上2万円未満」は12.9%、10万円以上は1.3%でした。

世帯所得が1千万円以上になると、1人当たり寄附支出額が急増し、また、寄附は件数でみると1万円未満の小口が71.1%と圧倒的ですが、寄附総額への貢献は大口が85%を占めています。

 ・寄附者のうち「寄附金控除」を震災寄附の誘因とした人は19.1%。

つまり、80%以上の寄附者が、寄附金控除の有無に拘わらず寄付しています。


手厳しいまとめ

 上記調査の「まとめ」によると、寄附金控除の拡充が寄附行動に及ぼした効果は小さく、

不必要な政策であり、寄附金控除は高所得者層に対する寄付促進効果を持つものの、税収を減少させるマイナス面があるので、詳細に検証する必要がある、と手厳しい結論になっています。

 しかし、もっと長い眼でみる必要もあるように思われます。



記事提供:ゆりかご倶楽部




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