経営危機にある子会社を救うために、損失補填や債権放棄、無利息貸し付けなどを行うケースがあります。
通常、子会社に対する経済的利益の供与は寄付金扱いとなります。
一般の寄付金には損金算入に限度が設けられていますが、その経済的利益の供与について「経済的合理性」が認められる場合には、寄付金には該当しないものとして損金算入が認められます。
子会社の債権を放棄した場合なども例外ではありません。
ここでいう「経済的合理性」とは、「再建支援をしなければ今後より大きな損失を蒙ることが明らかな場合」や、「子会社等の倒産を回避するためにやむを得ず行うもので合理的な再建計画に基づく場合」などです。
その再建支援に相当な理由があると認められる場合がこれに当たります。
しかし、経済的合理性が認められても、そもそも子会社が「経営危機にある」と認められなければ、やはり寄付金課税の対象となってしまいます。
「経営危機にある」場合とは、一般的には、債務超過の状態にあることなどから資金繰りが逼迫しているような場合などを指しますが、債務超過状態にあっても自力再建が可能な場合には経済的合理性はないと判断されてしまうので要注意です。
ただし、債務超過の状態にない子会社に対して債権放棄などをした場合でも、営業状態や債権放棄に至った事情からみて経済的合理性があると認められる場合もあります。
例えば、営業に必要な登録等の条件として、一定の財産的基礎を満たすこととされている業種の場合、赤字のままでは登録等が取り消され、営業が継続できず倒産に至ることになりかねません。
これを回避するために債権放棄して財務体質を改善した場合などは、経済的合理性があると認められます。
また、事業譲渡による子会社の整理に際して、譲受者側から赤字の圧縮を強く求められている場合などもこれに当たります。
<情報提供:エヌピー通信社>
記事提供:ゆりかご倶楽部 |
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