最近、ちょくちょく耳にするようになった「3Dプリンター」という言葉ですが、数年前から着実に産業界や医療業界では普及し始めています。
3Dプリンターとは、普通のプリンターが平面なのに対して、立体で複写できることをいいます。
家庭用のインクジェットプリンターは細かいインク粒子を紙に吹き付けてコピーします。
3Dプリンターはインクの代わりに、樹脂や接着剤の入ったインクを使って何層にも分けてコピーを積み重ねて複写物を作ります。
しかも、ただ単に積み重ねるのではなく、高級な機種では内部までコピーによって再現することができるのです。
吹き付ける素材によっては、実物の固さや色まで再現できますので、試作品を作ったり、手術前に手術する臓器の立体コピーを作成して、手術のシミュレーションをしたり患者さんに説明したりすることで使われ始めています。
3Dプリンターは1億円を超えるものから、お気に入りのフィギュアが複製できるような量販店でも売られ始めている十数万円の廉価版まで登場していますが、立体物を作るための3Dデータを作成するには、360度撮影できるような専用のスキャナーやある程度熟練した技術が必要です。
とはいえ、普及は急速に進んでいます。
ある調査では2012年の世界市場規模は前年比28.6%増の22億0400万ドル(約2,159億円)が、9年後の2021年には約5倍の108億ドルに膨らむと予測していて、活用範囲は確実に広がっていくようです。
タカラトミーのロングセラーの「トミカ」をご存知だと思います。
タカラトミーでは09年から3Dプリンターを導入しました。
それ以前は職人が約1ヵ月かけて、元となる金型を削りだしていたのですが、今では特殊なものを除き3Dプリンターによって原版を作っています。
メリットは製作時間が圧倒的に短縮されたことと人件費削減、そしてシミュレーションのし易さです。
「以前は職人によって差が出ていたのですが、それがなくなりました」(広報部広報課)とも語っています。
産業用の3Dプリンターはこのように精密機器業界や自動車業界などの金型製作やシミュレーションに幅広く使われるようになっています。
エンターテイメント系では、例えばハウスオブアートでは、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した写真を用いて3Dプリンターでフィギュアを出力するサービスを行っています。
ただ、問題がないわけではありません。
産業用についていえば、3Dプリンターは多品種少量生産には向いているのですが、量産がまだ難しいということです。
製品によっては既存の加工生産方法のほうが安価で効果的なケースも多いのです。
また、社会問題としては、著作権と銃規制について最近指摘されています。
アメリカで最近、銃がそのまま製作できる3Dデータが公開され問題となっています。
そのデータを使えば、プラスチック銃が簡単に作れますし、玩具が殺傷力を持つ銃に変わることも考えられます。
著作権については言うまでもないことですが、3Dプリンターによって作成される「モノ」についてのルール作りが急がれます。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
記事提供:ゆりかご倶楽部 |
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