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2013年10月の税務トピックス

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 T 新設された税務調査手続対処法

 1.税務調査手続法の誕生

 税務調査手続は、国税通則法に規定され適用されました(平成23年11月30日成立、同25年1月1日適用)。

従前の税務調査手続は、法定化されていなかった関係から憲法第35条(住居の不可侵)に抵触する資料調査課調査及び現金取引業者を狙い打ちする現況調査(以下「料調調査等」といいます。)が行われていました。

 従って、「憲法30条(納税の義務)国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」の見地からも、税務調査手続の民主化のために法定化すべきだとする声が多くなり、税務調査手続法として国税通則法の中に規定されたということができます。

 2.税務調査手続対処法

 新設された税務調査手続法は、極言すれば料調調査等が再び生じないために設けられたものだということができます。

 そのために次の3つの点を検討する必要があります。

 @ 身分証明書及び質問検査章(以下「身分証明書等」といいます。)の提示

 A 事前通知の明確化

 B 調査手続の終了時の説明の完全化

 これら3つの検討事項は、税務調査手続法で規定されたものだけでなく、税務調査手続に係る下記の通達によって定められているものもありますので、合わせて検討する必要があります。


記(発遣通達)

[1] 国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について(法令解釈通達)・課総5−9他・平成24年9月12日:(以下「手続通達」といいます。)

[2] 調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)・課総5−11他・平成24年9月12日:(以下「実施通達」といいます。)

(1)身分証明書等の提示

 本件については、「実地調査の実施は、身分証明書及び質問検査章を携帯する。相手方に提示し調査のために住訪した旨を明らかにして行う。

(注)行政指導の場合も身分証明書を提示して行う。」(実施通達第2章3(1))

(2)事前通知の明確化

 本件については、「事前通知がない場合でも臨場後、法74の9(事前通知)の事項を通知し調査を開始する。

税務代理人に対しても同様に取扱う」 (実施通達第2章2(3)(注)2)

 また『単に「現金決済取引」のみでは、事前通知を要しない場合に該当しない。』(手続通達第2節4−7)

(3)調査手続の終了時の説明の完全化

 本件は「更正決定をすべきと認めた額とは、当該職員が調査結果の説明時点の情報に基づいて合理的に算定した課税標準等、税額等、加算税又は過怠税(課税標準他)をいう。」(手続通達第3節5−3)

 このように身分も明確にせず不意打ち調査としての料調調査等は、前記の身分証明書等の提示及び事前通知の明確化の通達で封じ込められたはずですが、これらを無視しての調査が未だ存在します。税理士は訓令違反として厳正に対処して下さい。

 また、調査終了時の説明で課税標準他の説明が必要なのに課税標準等のみしか説明をしない事例を見受けます。
訓令違反として的確な説明を求めることで対処して下さい。


 U 10月の税務
 8月決算法人が多くない関係から税務は忙しくない月だと思います。9月決算法人は多いことから10月は前倒しでその準備をしましょう。


法学博士・税理士右山昌一郎



記事提供:ゆりかご倶楽部
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