T 平成26年度税制改正における納税環境整備について
1 概要
納税環境整備については、国民主権の立場等から国税不服審判所の改革等が主張されています。
しかし、行政不服審査法の改正とともに改正しなければ実現しないものと国税通則法の改正のみで実現できるものとの二つに分かれます。
平成26年度の税制改正においては、納税環境整備に着手はするが、国税通則法の改正と改正行政不服審査法の施行に合わせて改正するとした二本建の税制改正が行われています。
2 国税通則法の改正による納税環境整備
(1) 納税義務者への調査の事前通知の省略
税務代理人がある場合の税務調査の事前通知(改正前:納税義務者と税務代理人の双方通知)について納税義務者本人の同意がある場合として税理士法第30条の規定による書面にその旨の記載がある場合には、当該納税義務者への通知に代えて税務代理人への通知ができることとします(新通則法74の9D、新税理士法34A)。
この改正は、平成26年7月1日以後に行う事前通知について適用されます(平成26年改正法附則39A、同附則136C)。
(2) 国税通則法第99条の見直し
国税不服審判所長から意見(国税庁長官の通達と異なる裁決に係る意見)の申出があった場合の国税庁長官の国税不服審判所長に対する指示(国税審議会の議決に基づくもの)を廃止します。
そして、当該方式を次のとおり見直します。
@ 国税不服審判所長が国税庁長官の法令解釈と異なる解釈による裁決又は重要な先例となる裁決をするときは、その意見を国税庁長官に通知します。
A 国税庁長官は国税不服審判所長と連名で国税審議会に諮問し、国税審議会は議決に基づき双方に答申します。
国税不服審判所長は、当該議決に基づき裁決を行い、国税庁長官は、当該議決に基づき通達等の改正等を行います。
この改正は、平成26年4月1日以後に行う見直しについて適用されます。
3 改正行政不服審査法に伴う納税環境整備
改正行政不服審査法に伴う納税環境整備について、現在予定されているものは、次に掲げる「国税不服申立制度の見直し」です。
(1) 不服申立て手続の審査請求への一元化
国税に関する不服申立て手続について、処分に不服のある者は、直接審査請求(改正前:「異議申立て」と「審査請求」の二段階の不服申立前置制度)ができることとされます。
なお「異議申立て」は「再調査の請求」と名称変更され、同請求の行使は、任意で選択性とされます。
(2) 不服申立期間の延長
不服申立期間が処分のあったことを知った日の翌日から3月以内(改正前:2月以内)に延長されます。
(3) 証拠資料等の閲覧制度の見直し等
審査請求人は、国税不服審判所における担当審判官の職権収集資料を含め物件の閲覧(改正前:審査請求人等の提出物件の閲覧)及び謄写を求めることができます。
その他担当審判官の質問、審理手続規定が整備されます。
(4) 施行
(1)(2)及び(3)は「改正行政不服審査法の施行の日から適用される」と規定されています。
そして、平仄を合わせる改正不服審査法は次期通常国会に法案提出を目指し、法案成立後国民への周知を行い2年以内に新制度に移行するとしています。
U 4月の税務
3月の確定申告が終り、ほっと一休の月だと思われますが消費税増税の月です。消費税についての適用について誤りのないようにしましょう。
記事提供:ゆりかご倶楽部 |
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