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HOMECONTENTSタックスニュースタックスニュース平成26年タックスニュース 2014.05.12


【時事解説】買う節税と売る節税

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 税金の納付は国民の義務ですが、会社として節税を心がけるのは当然の企業努力です。

しかし、そのときに税額の減少額だけに目を向けてはいけません。
企業の終局的目標は将来キャッシュフローの最大化です。

税額を圧縮するのは、税金がキャッシュフローの減少要因の一つとして作用するからに他なりません。

 本業で利益が大きすぎるから、利益を削減するために銀行から借入金を借りて機械などの減価償却資産を購入するということが行われることがあります。

たとえば、100の借入金を銀行から借入(借入期間10年、金利5%、期日一括償還)、100の機械(耐用年数10年、定額法による減価償却)を購入したとします。

これにより、利益(税務上の所得)は金利の5と減価償却費10を合わせて15減少します。

実効税率を40%とすると1年間の節税額は6になります。
これが10年間続くとすれば、節税額はトータルで60になります。
確かに税金に限定したときのキャッシュアウトは60減少します。

 しかし、借りた借入金は10年後に返しますから、時間価値を無視すれば、キャッシュフロー的にはプラス・マイナス0ですし、減価償却費もキャッシュフローには関係ありません。

プラスのキャッシュフローは税額減少分の60、マイナスのキャッシュフローは10年間分の金利50と機械購入代金100を合わせた150ですから、ネットでマイナス90のキャッシュアウトになります。

結局この設備投資で10年間で最低90以上のキャッシュフローのプラスを生み出すかどうかを検証する必要があります。

 節税には大きく分けて、買う節税と売る節税があります。
減価償却資産の購入は典型的な買う節税です。

買う節税では減価償却費と金利で税金は減少しますが、資産購入に伴うキャッシュアウトがあることを見逃してはいけません。

 一方、売る節税の損得計算はとても明確です。
たとえば、含み損を抱えた遊休資産の売却を考えてみましょう。

簿価100の土地の時価が60だったとします。
したがって、含み損が40あります。

この土地を売却して節税するときのキャッシュフローは次のようになります。
時価60で売却するのですから、含み損が実現損に変わり、売却損失40が発生します。

実効税率を40%とすると、税額は16減少します。
キャッシュフローのプラスはこれだけではありません。

資産そのものの売却額60もプラスのキャッシュフローを生み出しますから、合計のキャッシュフロープラスは、税額の16と売却代金60を合計した76になります。

このように、含み損を抱えた資産の売却に伴うキャッシュフロー計算は明確です。

 節税を考えるときには直接に減少する税金だけを考えるのではなく、その節税行為全体のキャッシュフロー計算が重要であること、及び、節税には買う節税と売る節税があり、買う節税のキャッシュフロー計算は不確定なのに対し、売る節税のキャッシュフロー計算は明確だということがいえそうです。

節税の明確な第一歩は、将来のキャッシュフロー収支の不透明な設備投資ではなく、含み損のある資産の整理だということを再認識したいものです。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)




記事提供:ゆりかご倶楽部
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