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2014年8月の税務トピックス

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 T 今後の法人税改革の基本認識


 安倍政権は、現行の法人税実効税率平均34.62%(地方税を含みます)を今後数年間の中で20%台に引き下げると発表しました(平成26年6月14日付)。

 その基礎は、同年6月5日に自由民主党、公明党の各税制調査会が公表した「法人税改革に当たっての基本認識と論点」(以下「論点」といいます)であると思われますので、そこから法人税改革の現点を検討することにします。


 1.アベノミクスと法人税改革

 アベノミクスは、デフレ脱却実現のために「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」及び「民間投資を喚起する成長戦略」の3本の矢を放ちました。

そして今や「民間投資を喚起させるための成長戦略」の完成に着手しています。

 そのためには「企業の成長と個人の富の好循環」への転換が必要となり企業の利益が殖え民間への分配が殖え成長戦略に結び付く必要があったわけです。

 従って、企業の分配利益を殖やし個人の富の増加につなげる強い経済確立のための第1段階として法人税率の引き下げを公表したものといえます。


 2.法人税改革の問題点

 論点における法人税改革に伴う主要な問題点は、次の2つです。

 @ 法人税額の減収と財政健全化

 A 法人税改革と経済の活性化

 @については、法人税率1%の減額は、約5,000億円の税収減と試算されています。

 そして、わが国は2020年度にプライマリーバランス、すなわち財政の健全化を国際会議の場で発信しています。

 従って法人税改革と財政の健全化については、次の方法で対処するとの方向性を打出しています。

 (ア)政策減税の大幅な見直しなどによる課税ベースの拡大

 (イ)他税目(法人税率の3分の1を占める地方法人課税に係る応益課税強化の見直し等)による課税強化(赤字企業でも地方行政のサービスを受けていることによる)

 (ウ)歳出、歳入の両面での財政収支改善に向けての努力を行うこととしています。

 Aについては、法人税を納付している企業は全体の3割に過ぎないという税負担の偏りがあるために税負担を軽減し企業の成長戦略につなげる必要があるとしています。

 さらに法人税率の引き下げは、外国企業の新規参入や資本参加の増加、国内企業の海外流出の抑制などを通じ、わが国の立地競争力の改善につながるとの指摘もあります。

 これらを総合して法人税率の引き下げは、成長戦略実現のための第一歩であり、収益力の高い企業の税負担を緩和し企業の国際競争力を高め、また法人税を納付していない赤字企業については、地方税の外形標準課税を通じて行政サービスに見合う応分の負担を行うことを論点は述べています。

 このことは「課税ベースを拡大しつつ、税率を引き下げる」ということで法人税改正が今後数年間の中に行われることを意味します。


 3.法人税率引き下げ後の措置

 論点は法人税率引き下げのみで成長戦略が実現するものではないとしています。

 すなわち、今次の法人税率の引き下げは、企業の3割しか法人税を納付していない税負担の偏りを是正し、その後の総合的経済政策により優良企業の稼得力に寄与するねらいがあるといえます。



 U 8月の税務

 8月は、税務官庁も夏休みの時期ですから税閑期といえるでしょう。しかし、消費税率10%を目前にして軽減税率の意見等がでています。留意してその動向を見る必要があるでしょう。


法学博士・税理士右山昌一郎



記事提供:ゆりかご倶楽部
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