6月24日、安倍内閣はアベノミクスの第2次成長戦略「日本再興戦略 改定版」を閣議決定しました。
このなかには、法人税減税や年金基金、ロボット革命などに関する政策が盛り込まれています。
昨年6月、第1次成長戦略が発表され、今回はその改訂版となります。
掲げられた政策のうち、「女性の活躍推進」は第1次成長戦略から一貫して取り組んでいる項目で、安倍内閣が力を入れている事項の一つです。
というのも、日本の女性の活躍は、世界経済フォーラム「男女平等指数」によると、世界136ヵ国中105位と低い位置にあります。
とくに、管理職(部下を持つ課長級以上)となると上場企業でも低い値になっています。
たとえば、役員の女性比率はノルウェー41%、欧州11%に対して日本は1.23%と大きな差があります。
これまでも政府は、男女雇用機会均等法の改正などの取り組みはしていますが、なかなか成果が表れていないのが現状です。
そのなか、政府は確実に取り組みが実行できるよう、政策目標を掲げる形をとっています。
具体的な政策目標の数値は、2020年までに以下を実現すると掲げています。
(1)女性の就業率(25歳〜44歳)を73%(2012年は68%)に引き上げる
(2)企業などで指導的地位に占める女性の割合を30%程度にする
(2)については、単に女性が働くだけではなく、女性が指導的立場にいる職場を増やさないと、真の意味で女性を活用しているというわけにはいかないことを示しています。
今後は女性管理職をどこまで増やしたかといった視点も、その企業が女性を活用しているかどうか、指標の一つになります。
政府が「女性の活躍推進」に関して、具体的な政策目標を明らかにしたことを受けて、企業でも独自の数値目標を掲げるところが増えています。
経団連によると、女性の管理職登用に関する自主行動計画を公表した47社のうち、27社が数値目標を設けているといいます。
具体的には、トヨタ自動車は、女性管理職の人数を2020年までに現行の約100人から3倍の300人に、2030年には5倍にすると掲げました。このほか、東レや三井物産、日立製作所などがそれぞれ数値目標を公表しています。
女性の就業率が高まることは、少子高齢化による労働人口の減少、働き手の不足といった社会が抱える課題の解決につながります。
加えて、人材が多様化することで、今までとは違った視点で製品やサービスが生まれやすくなります。
とくに、管理職層に女性の割合が増えることで、組織内での意思決定に変化が起こる可能性があります。
これまでならば、価値が認められずに許可が下りなかった新規事業、そして製品やサービスの開発が生まれやすくなります。
企業にとって、競争力が高まるよう、手を打つことは容易ではありません。
そのなかで、女性の登用は、ユニークな商品やサービスを数多く提供することで、企業の競争力を高めることになります。
そして、新規事業、新市場の誕生、さらには個々の事業が成功すれば、企業の成長といったことにつながります。
ただし、現在、女性の管理職登用に関して、具体的な数値目標を掲げ取り組んでいるのは大企業が中心です。
今後、どこまで広がるかが「女性の活躍推進」の成否を分けることになります。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
記事提供:ゆりかご倶楽部
参考URL
日本再興戦略 改定版 首相官邸ホームページ pdf
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