T 税務に係る不服申立ての改正
最近不服申立てについて「税務に係る異議申立てがなくなったと聞いたが、その後はどうなるの」という質問をよく受けます。
この質問は、平成26年6月6日行政不服審査法関連3法(行政不服審査法「法律第68号」、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律「法律第69号」、行政手続法の一部を改正する法律「法律第70号」)の成立を受けての質問と思われますが、
行政不服審査法は、一般法であり、税務に係る国税通則法の不服申立ては特別法(行政不服審査法の適用除外→国税通則法80条)であり、本来関係のないものです。
しかし、行政不服審査法の今度の改正に伴い国税通則法の不服審査に係る規定が改正された点は税務に関係しますので勉強しておく必要があります。
1 国税通則法の不服審査に係る規定の改正
行政不服審査法の改正に伴う国税通則法の不服審査に係る規定の改正の主たるものは、次のとおりです。
1 異議申立前置主義を廃止し、現行の「異議申立て」を「再調査の請求」に名称変更し、審査請求との選択性とします。
(説明)
現行法の税務に係る不服申立て制度は、裁判所に出訴するまでに2段階前置主義(異議申立て及び審査請求)が強制されています。
しかし、異議申立ては、税務調査における事実認定の見直しには有効であっても、税法解釈についてはその有効性を見出すことはできないといわれています。
したがって、主として事実認定の見直しを求める見地から「異議申立て」を「再調査の請求」に名称変更するとともに、審査請求前置主義のみは租税不服申立てが、大量かつ回帰的に提起されることから裁判所の負担軽減のために存置し、「再調査の請求」については選択性としたものです。
2 不服申立期間を現行の2か月以内から3か月以内に延長します。
(説明)
不服申立期間については、現行法の主観的申立期間(処分を知った日からの期間)2か月、客観的申立期間(処分を知らない期間)処分の日から1年です。
しかし、出訴期間6か月に比べて主観的申立期間のみがあまりにも短かすぎるということで2か月が3か月に延長されました。
3 口頭意見陳述に全ての審理関係人(審査請求人、参加人及び原処分庁)を招集することとし、原処分庁への質問権も規定されました。
(説明)
現行法は、審査請求人の口頭意見陳述の申立てがあった場合でも紛争の相手方である原処分庁の同席は規定されていません。
改正法により全ての関係者が招集され、審査請求人が原処分庁に質問することもできることになります。
4 担当審判官が職権で収集した証拠書類等についても閲覧の対象とし、謄写もできることにされました。
(説明)
現行法は審査請求人及び参加人に対して原処分庁から提出された書類等の閲覧請求権を規定しています。
改正法は、この閲覧請求権に加え謄写権が規定され、さらに担当審判官の職権収集資料についても閲覧、謄写の対象とされました。
2 改正法の施行期日
改正国税通則法は、改正行政不服審査法と平仄を合わせる意味からも同法の施行の日から施行することとされています。
その施行日は「公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」と規定されていますので新制度への移行は、平成28年度となり、それまでは現行法が適用されることになります。
U 10月の税務
10月申告法人(8月決算法人)は、あまり多くないと思われます。し
たがって、年末の税繁期に備えて今月から準備をしましょう。
記事提供:ゆりかご倶楽部
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