特定空家等に係る敷地の固定資産税等の特例措置の創設
はじめに
平成26年11月に市街地の空洞化を招く、家屋、工場、店舗などの適正な管理が行われていない空家(以下「空家等」といいます。)の解消を進める目的で「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)、以下単に“空家法”といいます。」が成立しました。
平成27年2月にその一部が施行され、所有者特定のため市区町村が固定資産税の納税者情報が利用可能とされました。
また、平成27年5月26日の全面施行後は、立ち入り調査及び解体勧告などの権限が与えられ、所有者がこれら勧告等に従わなかったり、不明であった場合には行政サイドが解体できる強制執行を行うことが可能とされました。
そこで、本稿では、空家法の概要を解説するとともに、空家対策としての固定資産税額等の特例措置について解説することとします。
T 空家法の概要
空家法の主な内容は、次のとおりとされます。
@ 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にある空家等を「特定空家等」と定義しました。
A 市町村長が特定空家等の所有者等に対し、必要な措置をとるよう助言・指導、勧告、命令等を行うことが可能とされました。
B 「市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するため、空家として解体を勧告すれば平成28年以降、土地の固定資産税を減額する優遇措置の対象外とする措置を講ずる」旨が記載されました。
U 特定空家等の判断目安
上記T@における特定空家等とは、現況にある空家で周辺に危険や迷惑を及ぼし、市街地の空洞化を招く家屋等とされています。
なお、具体的な特定空家等の判断目安は、次のとおりとされています。
@ 建物の傾き具合が高さに比して20分の1(例えば高さ3mなら屋根のずれが横に15p)を超えるもの
A 土台のシロアリ被害が著しいもの
B ゴミの放置や投棄で多数のネズミやハエが発生し、近隣住民の日常生活に支障があるもの
C 立木が建物を覆うなど茂っていたり、道路にはみ出した枝が通行を妨げるもの
D 多くの窓ガラスが割れているもの
E トタン屋根・看板などが落ちそう又はベランダが傾いているなどが見てわかるもの
V 空家対策としての固定資産税額等の特例措置
上記Tの空家法の規定に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置(本則課税標準額)の対象から除外される特例措置が創設されました(新地法349の3の2)。
※参考URL「図表:特定空家等に係る敷地の固定資産税等の特例措置」をご参照ください。
おわりに
人口減及び超高齢化の進行により、全国の建物のうち、5戸に1戸は空家と言われています(平成25年度総務省資料)。
平成28年以降、固定資産税等の特例措置の対象外とされると空家の所有コストが約6倍に増加することとなります。
相続後の相続人間で共有状態となっている土地の売却及び危険な空家を改修して地域の交流スペースとして賃貸する等の有効利用を早期に検討すべきでしょう。
記事提供:ゆりかご倶楽部
11月9日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成27年11月6日
●マイナンバー制度に便乗した不正な勧誘や個人情報の取得にご注意ください(内閣官房ホームページに移動します)(PDF/341KB)
●平成27年度「税に関する高校生の作文」国税庁長官賞受賞者発表
●「輸出支援の取組み」>「国際交渉について」を更新しました
●土地については交換契約を締結し建物については売買契約を締結した場合の所得税基本通達58-9の適用について(文書回答事例)(平成27年10月15日)
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