前事業年度に販売した商品が不良品だったことから、今期に入って販売した顧客から売買契約を解除されて返品されるというケースがあります。
突然、売買契約を解除されたのが、「前期に販売し、既に収益を計上している商品」だった場合、現実的に前期分のその収益はなかったことになるのだから、更正の請求をすれば前期所得金額を正当な金額に減額してもらえると思う人もいるようです。一般的には、そう思うのもごく自然ですが。
それは、契約の解除や取り消しがあった場合、民事上はその契約が「既往にさかのぼって効力を失う」ことになることから、法人税法上でも「既往にさかのぼって売上高などを減額修正して、課税所得を再計算する」と思うわけです。
しかしそれは現在の税法では、誤りとされ、法人税の課税所得の計算は、いわゆる「継続企業」を前提に、一事業年度の期間中の収益と費用・損失とを対応させる期間損益計算を行っています。
したがって、収益、費用・損失については、その発生原因を問わず、「その期間中に生じたものはその期間中の損益」として計上しなければならないこととされています。
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このため、前期以前に収益計上した商品の売買取引について、当期において契約の解除などがあった場合は、「前期損益修正」として当期において損金に算入することになります。
追記
はたしてこの取扱いが正しいかどうかはなはだ疑問のところもあります。
特に高額な利益な場合は、実現しなかったわけですから、さかのぼって減額するのが一般常識のように思いますが。
こういったことは、税法全般にいえ、たとえば、不動産の売却が、さかのぼって取り消された場合なども売却ではなくなるのですが、それも取りけされた年度の損益修正となるのはおかしいことだと思います。
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