千葉県市川市の姉歯(あねは)秀次一級建築士が、未着工や工事停止中の物件を含むマンションやホテル計21件について、構造計算書を偽造していたことが分かり大問題となっています。
その構造上問題のあるマンションの家主の中には、立退料を支払って住民の安全確保を最優先に考えることを決めたところも現れました。
ところで、この立退料料ですが、状況や目的により税務上の取扱いが異なるので注意が必要です。
基本的に、個人が土地や建物の取得に際して、その土地、建物などを使用していた人に支払う「立退料」や、その他の人を立ち退かせるために使った費用については、その土地、建物等の取得費や取得価額に算入することになります。
しかし、今回の姉歯建築士による構造計算書偽造事件のようなケースで、構造上問題のあるマンションを所有している大家が個人事業者の場合、住民の安全を確保するためにそのマンションから賃借人を退去させることを目的として立退料を支出することが考えられます。
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すなわち、新たに個人が土地や建物を取得するために、その土地や建物を使用している人に支払う立退料とは性質が異なるわけです。
そこで、個人が従前から所有している建物の賃借人を立ち退かせるために支払うような立退料について国税当局では「その支出した年の必要経費に算入される。
また、それを取り壊して新しい建物を建てる場合に支出する立退料についても、同じように取り扱われる」としています。
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