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従業員が横領したお金の即時全額経費算入は困難

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 東京三菱銀行の港北ニュータウン支店(横浜市)で、顧客に架空の金融商品を持ちかけ、顧客のキャッシュカードを使ってお金を使い込むという「10億円横領事件」が発生しました。

従業員による事業資金の横領は、経営者ならば常に注意しなければならない犯罪だけに同事件は注目を浴びています。

 従業員による事業資金の横領などは考えたくない問題です。
しかし、万が一発生した時の対応の仕方は知識として備えておくべきでしょう。
特に税務処理は重要です。
 まず、経営者は事業資金を横領した従業員に対して損害賠償請求権を持つことになります。
次に、その従業員が横領したお金をすぐに返還してくれればよいのですが、横領金額が高額なほど返還が遅れがちです。
そうなると、経営者サイドの税務処理として、横領された金額の必要経費への算入時期が問題となります。

 経営者としては、すぐに横領金額が返還されないことが予測できることから、横領事実が判明した時に横領額を必要経費に算入し、損害賠償請求によって得られる金額は、別途その金額が確定したときに収入金額に計上したいものです。
しかし、国税当局では「横領事件が発覚した場合には、経営者と加害者(従業員)との間で損害賠償額が具体的に確定した時に、横領金額のうち賠償されない金額のみを横領損失額として必要経費に算入することが妥当」としています。

これは、戻ってきた分は自社資産の返還が行われただけの為、収入処理するのは適切ではない、ということの裏返しです。