今般の税制改正においては、「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」が導入され、かなりの企業がこの規定により増税となると言われています。
そのため、株式の移動により同規定を回避しようと考えている企業も多いようです。
というのも、同規定は「オーナー、またはオーナーと特殊の関係のある者」が90%以上の株式(出資)を占めている場合に適用されるため、株式を「オーナーと特殊の関係のある者」以外に移動することで、株式保有割合(出資割合)を90%未満に下げれば、同規定が適用されなくなると考えられているのです。
現に同規定の影響を受ける企業から、株式の譲渡価額についての問い合わせを受けている税理士事務所は少なくないようです。
おそらく、多くのケースにおいては、信頼のおける友人や取引先の名義を借りることが意識されているのではないでしょうか。
ところが、当局ではこの退避策をあらかじめ予想していたようで、施行令72条4項においては「個人又は法人との間で当該個人又は法人の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者がある場合には、当該者が有する議決権は当該個人又は法人が有するものとみなし、かつ、当該個人又は法人(当該議決権に係る会社の株主等であるものを除く)は当該議決権に係る会社の株主等であるものとみなす」と規定されています。
つまり、形式的な株式移動だけではこの制度の適用を免れることはできないということです。
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