このたび、中小企業庁が平成17年度企業実態調査を発表しました。
それによると、中小株式会社(調査対象業種)のうち、定款に株式譲渡制限を定めている会社が56.7%に過ぎないという実態が明らかになりました。
同調査は、中小企業の財務や経営、設備投資などの動向について、業種横断的に調査されているものです。
調査の範囲は、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売業、小売業、不動産業、飲食店・宿泊業及びサービス業に属する中小企業。無作為抽出した10万社に調査票を送付し、4万5451社から回答を得ています。
日本の株式会社の大半は中小企業で、そのまた大半が株式譲渡制限会社(非公開会社)。
これは税理士業界において良く聞かれる話です。我が国の中小株式会社においては同族会社の占める割合が高いため、株式がほとんど流通(移動)しない株式会社が多いのは事実です。
そのため、ほとんどの中小株式会社が株式の譲渡制限を定款に記載した非公開会社と推測されていました。しかし、今回の調査によって、この推測が覆った格好になります。
5月より施行される会社法においては、非公開会社だけに認められた優遇措置が多くあります。
その優遇措置とは、取締役1人での会社設立(取締役会非設置)や監査役の非設置、取締役の任期延長(10年)、株主総会の口頭通知などです。
これらの優遇措置は、定款に株式譲渡制限を記載していなければ受けることができません。従って、定款に株式の譲渡制限を記載していない株式会社が、これらの優遇措置を利用したい場合は、早めに定款の変更を考える必要があります。
参考
中小企業実態基本調査
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