以前のように土地の価格(地価)が下がり続けている時には問題なかったのですが、最近のように地価が上がりはじめると少し考えたいケースがあります。それは、オーナーが自分の土地を会社に貸している場合です。
建物の所有を目的として土地を借りる場合には借地権という権利が発生します。
基本的には、借り手側が借地権を「権利金」という名目で支払うことで土地の貸し借りが成立します。
しかし、借地権の価額は土地の更地(さらち)価額の30%程度と決して安くはありません。
そこで、一般的には権利金の収受をしないかわりに「相当の地代」を支払うか、借地権の発生しない「土地の無償返還の届出」の方法が良くとられます。
「土地の無償返還の届出」では借地権が発生しないため、借り手が借地に関しての諸権利を行使することはできないかわりに地代を安く設定できます。
一方、「相当の地代」はおおむね地価の6%(年額)と通常の地代よりも割高です。
実は、この方法はオーナーの相続税対策として良く取られていた方法です。
「相当の地代」には「改訂方式」と「据置方式」の2つがあります。
「相当の地代」を改訂しない「据置方式」を利用すると、バブル期のように地価が上昇している時には「相当の地代」と実際の地代との間に差額が発生します。
その差額分は借地権が自動発生したものとみなされるため、その分、土地の相続税評価額が安くなるのです。
しかし、地価が下落傾向になるにつれて、この対策が使われることは少なくなりました。
ただ、地価は上昇傾向に転じてきています。もし、会社に貸している土地の価格が大きく上昇しているような場合には、改めてこのような対策を考えてみるのも良いかもしれません。
|
|
|