住友軽金属工業(本社:東京都港区)に対し、在職中に死亡した元社員の遺族が団体定期保険の保険金の受け取りを求めた2つの訴訟の上告審で、最高裁が口頭弁論を2月28日に開く予定だそうです。
この2つの訴訟では、高裁段階で勝敗が分かれていたことから、今回の最高裁の判断が注目されています。
報道によると、住友軽金属工業が得た死亡保険金は55億円にも上るそうです。
この裁判だけではなく、企業に対し遺族が保険金の支払い等を求めて裁判を起こすケースがここ10年ほどの間に増えてきています。
本来、企業が社員にかける団体定期保険は、従業員の死亡や高度障害に備えるもので、死亡退職金や弔慰金、障害給付金など、福利厚生や遺族の生活保障の為に用いられるべきものです。
だからこそ、税務上でも支払保険金については損金算入できる等の優遇措置が認められているのです。
企業がその保険金を着服したり損失の補填に充てたりすれば問題になるのは当然です。
このような保険金のトラブルは個人事業者も例外ではありません。
そのため、従業員の退職時に保険契約の内容を変更する個人事業者もいますが、その場合の税務処理には注意が必要です。
例えば、従業員を被保険者とし、保険金の受取人を事業者とする生命保険契約を締結していたとします。
この保険契約を、従業員の退職時に契約者と保険金受取人の名義を従業員に変更し、契約に関する権利を従業員に引渡した場合、その権利の価額を評価することになります。
その権利の価額は、契約自体を解除した場合に支払われることとなる解約返戻金の額により評価します。
そして、この権利の評価額相当は従業員の退職金となり、事業者は事業所得の計算上、同額を退職金として必要経費に算入することになります。
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