日本経済新聞社の記事によると、経済産業省と中小企業庁が「議決権のない株式」について、相続税評価額を20%程度減少させるよう来期の税制改正に要望するそうです。
「議決権のない株式」は、これまでもオーナー企業の株式相続に利用されていました。
というのも、相続によって「議決権のある株式」が分散すると、相続後に「お家騒動」の火種になることがあるからです。
非事業承継者には「議決権のない株式」を相続させることで、それを未然に防ぐことができるわけです。
経産省と中企庁の今回の要望は、この「議決権のない株式」の相続税評価額を「議決権のある株式」より低くしようということです。
そうなると、「議決権のない株式」を相続した非事業承継者の相続税負担が軽くなるだけではなく、事業承継者に相続させる株式の一部を「議決権のない株式」にして、事業承継後の負担を減らすこともできるようになります。
5月に施行された会社法では、従来2分の1だった「議決権のない株式」の発行限度が譲渡制限会社に限り撤廃されています。
これまで以上に「議決権のない株式」の相続時の利用価値は高まっているわけです。
しかし、課税当局がこの要望を素直に受けるかどうかは微妙なところです。
多くの同族会社では、大半の株式をオーナーが所有していますから、株主総会で「議決権のある株式」を「議決権のない株式」に変更することは簡単です。
「お家騒動」の心配のいらない会社であれば、ほとんどの株式を「議決権のない株式」にして相続税を減らすことも可能になります。
このように安易な租税回避策を課税当局が許すのかどうか要注目です。
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