半年以上も前倒しして始まった自民党税制調査会において、企業保有設備についての税制の見直しが進められています。
現在、法定耐用期間を過ぎた設備について、引き続き利用する場合は取得価額の5%分を損金にできないという仕組みを全額損金できるようにするほか、法定耐用年数を短縮する案も出てきているようです。
この動きは、設備に関する税負担を欧米並みに軽減することにより、企業の国際競争力を高めることが狙いです。
企業においては、法定耐用年数を過ぎたからといって、すぐにその設備を買い替えるわけではありません。
むしろ、その設備が継続利用可能であれば、使い続けたいというのが本音でしょう。
税務上、法定耐用年数を過ぎた有形設備には、残存価額と償却可能限度額という考え方があります。
残存価額とは、その設備を廃棄する際の処分見込価額のことで取得価額の10%となっています。
また、償却可能限度額とは、耐用年数経過後もその設備を引き続き使用する場合、残存価額10%から更に5%が償却(損金化)可能となり、結果として取得価額の95%まで償却できる仕組みです。
ただ、耐用年数を過ぎた設備はどこか問題が生じているもの。
となると、補修等が必要になるわけですが、この補修等についての税務処理には注意が必要です。
というのも、この補修等については単純な修理(修繕費)という面と、設備の耐用年数を伸ばす(資本的支出)という面の両方があるからです。
このように修繕費と資本的支出の判断がつかない補修等の費用については、税務上で認められている簡便法の形式的判定基準を利用して、資本的支出70%、修繕費30%で処理することが一般的です。
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