このたび経済産業省(経産省)が「動産担保融資」の普及対策に着手することを明らかにしました。
動産担保融資とは、その名の通り、在庫や設備などの「動産」を担保にした融資制度です。
経産省では、信用保証協会の融資保証の担保に動産を使えるようにする形で、この動産担保融資を広げようという考えです。
担保になる不動産を持たない中小企業にとって、動産担保融資が普及することは歓迎すべき事です。
しかし、いままで在庫や設備などの動産が担保になり難かったのには理由があります。
その一つが通常の動産には公示制度が無いことです。
公示制度とは、権利の所在を外形的に公示することで取引の安全を図る制度のこと。
不動産登記がもっとも有名な例です。
通常の動産には、この公示制度がないために動産の所有者を確認することが難しく、第三者譲渡を制限することも困難です。
従って、従来の動産担保融資は、公示制度のある動産(自動車等)を担保にしたものか、質屋のように動産を預かる形での融資が主となっています。
さらに、二次市場が確立されていないのも動産担保融資が普及しない理由の一つです。
パソコンのように中古市場が確立されている商品ならともかく、仲介業者も販売方法も無い商品や設備は現金化するのに手間がかる上、担保評価額も算定しにくいため、リスクの高い担保になってしまいます。
現在、法務省の法制審議会では「動産・債権譲渡に係る公示制度の整備に関する要綱中間試案」がとりまとめられ、法人が行う担保目的の動産譲渡を登記制度の対象とすることが検討されています。
ただ、この制度は法人のみを対象にしたものですし、実現にも時間がかかりそうです。そうしたことからも、今回の経産省の方針には注目すべきです。
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