財産を相続することになっても、相続税について悩む人はそれほど多くはありません。
それもそのはず、現在の相続税制のもとでは、相続時に相続税を支払うことになる人は100人に4人しかいないのです。
その理由は、相続税には大きな基礎控除(5000万円+1000万円×法定相続人の数)があるからです。
たとえば、相続する人が配偶者1人と子供2人のケースでは、5000万円+1000万円×3人の合計8000万円まで相続税は課税されません。
たとえ、子供一人が相続するケースでも6000万円までは相続税は課税されないのです。
これについて、政府税制調査会(首相の諮問機関)が「是正すべきだ」との声を上げました。
23日に行われた総会において、各委員から「世代間をまたぐ富の集中は排除すべきだ」「経済格差を固定化するのは良くない」などの声が相次ぎ、その結果、中期的に相続税の基礎控除を引き下げる方針が全会一致で決まったそうです。
1988年まで相続税の基礎控除は2000万円+法定相続人1人あたり400万円(最高税率75%)でした。
それが徐々に見直されて、基礎控除額は現在の水準となり、最高税率も50%に引き下げられました。
これは、バブル期の異常な不動産高騰により、高額な相続税を支払らわなければならなくなった人が増え、それに伴う不幸な出来事が続出したためと言われています。
また、バブル期以降も、景気回復策として相続税は軽減され続けたのです。
その結果、1987年には1兆4343億円あった相続税収が、2004年には1兆651億円まで落ち込んでいます。
しかし、現在は土地の価格も落ち着き、景気も上向き加減です。
もう相続税について遠慮する期間は終わったというのが政府税制調査会の本音かもしれません。
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