先日、平成18年度税制改正で新たに創設された「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」制度について財務省がQ&Aを公開しましたが、その中で「役員給与の多寡など」も「業務を主宰する役員」の判断基準の一つとされたことが論議を呼んでいます。
「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」制度は、業務主宰役員とその親族等が全株式の90%以上を保有するなど一定の要件を満たす場合に、業務主宰役員の役員給与の一部が会社の経費にできなくなる制度です。
つまり、「業務主宰役員」が誰かというのは同制度を語る上で非常に重要な要因です。
法令上、業務主宰役員とは「法人の業務を主宰している役員(個人)」を指すことになっています。
そして、これを社会通念的に捉えれば、代表取締役や社長といった肩書きを持つ役員がそれにあたることになるでしょう。
しかし、これを逆手に取れば、実質的なオーナーが社長という肩書きを他の役員に譲って税制の適用回避を図ったり、オーナーの給与を減らしてその分を役員である奥さんに支給して影響額を減らすといった対策が考えられます。
今回の財務省の当該Q&Aはこうした税制回避策はダメだと釘を刺したものでしょう。
普通に考えれば同族会社のオーナーは代表取締役や社長ですし、オーナーである社長はもっとも役員給与が高いはずです。
また、会社の借り入れ等の保証もオーナーが行っているはず。
こうした事実に反して形だけの対策をとっても認めない・・・それが財務省の考え方だと思われます。
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