来年度の税制改正で、エンジェル税制を延長、拡充する方向で政府が検討に入ったことが報道されています。
エンジェル税制とは、ベンチャー企業に投資する個人投資家をエンジェルに見立てて税制面で優遇する措置。
具体的には、個人投資家がベンチャー企業の株式を取得、または譲渡等した場合に以下の特例を受けることができる制度です。
@ベンチャー企業への投資額を同一年分の株式譲渡益から控除できる
A譲渡益が生じた場合、その利益を1/2に圧縮できる
B譲渡損が生じた場合、その損失を3年間繰越できる
ただし、このエンジェル税制は来年3月までの時限措置でした。
これを2年間延長し、対象となるベンチャー企業(特定中小会社)の範囲も拡充しようというのが政府の考え。
次世代を支える企業の育成を支援するのが狙いです。
なお、政府が検討している拡充策は、経済産業省が「平成19年度税制改正要望」として提出した案が基本となっていると見られます。
現在のエンジェル税制では、対象となる特定中小会社は以下の要件すべてを満たす必要があります。
@設立10年以内の中小株式会社
A試験研究費等が売上高の3%以上(設立5年以上では5%以上)
B外部からの投資が1/6以上
C未上場・未登録
D大会社の子会社ではない
※一定の間接投資ではABが不要
経済産業省の案はこの要件のABを不要とし、かつ株式会社だけではなく合同会社(LLC)も対象にするというもの。
エンジェル税制は平成9年に創設されましたが、それほど利用されているわけでもありません。
しかし、これが実現すれば、大企業の子会社以外で設立10年以内なら中小企業のほとんどが対象になり、税制の利用価値が一気に広がることになります。
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