ビジネス上で名刺を交換すると、その人の肩書きが「取締役兼○○部長」となっていることが良くあります。
むしろ中小規模以下の企業では普通の形態でしょう。
税制上は、こうした人のことを使用人兼務役員といいます。
その定義は「役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する人」です。ただし、肩書き(代表取締役や専務、常務、監査役など)のある役員は認められません。
また、同族会社の経営者一族の場合も認められないケースがほとんどです。
なぜ、税制上にこのような制度があるのかというと、使用人兼務役員とそうではない役員に対する賞与の取扱いが異なるからです。
役員に支給する賞与は一定の条件を満たさなければ会社の経費にすることはできません。
しかし、使用人兼務役員の場合は使用人分の賞与(他の従業員と同様に支払われているもの)を経費にすることができます。
一般的に職制上(部長など)の業務を主として行っている使用人兼務役員は多いため、そのメリットは意外と大きいのです。
ところで、平成18年度税制改正で導入された特殊支配同族会社の判定基準の一つとして「オーナー一族が常務に従事する役員の過半数を占めている」ことがあります。
この「常務に従事する役員」についてですが、どうやら実質的に経営に参加していない(日常的に取締役会に参加していない等)使用人兼務役員は認められないようです。
つまり、日常継続的に会社の経営に関する業務を遂行していることが「常務に従事する役員」の要件となるようなのです。
「当社は役員比率が50%未満だから大丈夫」「古株の従業員を使用人兼務役員にして同税制を回避する」と考えている会社は要注意です。
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