いわゆるオーナー給与の一部が損金不算入になる「特殊支配同族会社」税制の施行から半年。
もっとも早く税制の対象となる来年3月決算法人の申告に向けて、専門家や実務化の間では同税制についての研究や対策が熱く議論されています。
そのなかで、最近良く話題になるのが、オーナー給与の一部を配当に切り替える手法です。
会社法では四半期配当なども可能になっています。
そのため、状況に合わせて配当額を調整して節税、または税制の適用を回避することが可能ではないかと考えるわけです。
たとえば、オーナー給与が1600万円の場合、オーナー給与を1200万、配当を400万円にすれば、オーナーの収入を変えずに、オーナー給与に係る損金不算入額を概算で20万円ほど圧縮することが可能です。
また、このケースで基準所得(前3事業年度の法人所得+オーナー給与の平均額、繰越欠損等が無い場合)が3000万円以下の場合は「基準所得3000万円以下、かつオーナー給与が基準所得の50%以下」という同税制の除外要件に該当することになります。
しかし、話はそう簡単ではありません。配当は利益(剰余金)の処分であり会社の損金にはできないため、ほとんどのケースで会社の税負担はかえって大きくなります。
また、基準所得が3000万円以下で税制の適用を回避できる場合でも、大きな節税効果を期待できるケースはそれほど多くはありません。
しかも、配当を決めるためには、株主総会の決議、利益額の確定、配当可能額の算定などの事務作業と費用が発生します。
さらに、このような小細工をすることで税務署の心証が悪くなることも考えられますし、オーナー自身の確定申告作業も増大するのです。
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