平成18年度税制改正においては相続税の物納に大きな改正がありました。
その中で注目すべき点として「非上場株式」に対する物納条件の緩和があります。
従来も非上場株式(取引相場のない株式)の物納は可能でした。
しかし、実際に物納が認められるためには、相続財産の大半がその非上場株式で占められていることが前提であり、その他にも厳しい条件が付されていることから、事実上、非上場株式が物納できることはほとんどありませんでした。
今回の改正により、この条件が譲渡可能な株式(定款に譲渡制限の定めが無く、譲渡に関する諸条件を備えている等)だけに緩和されました。
たとえ譲渡制限のある株式だったとしても、物納申請前に定款から譲渡制限の定めを外してしまえば物納申請できます。
(ただし、係争中や担保権が設定されている株式などは物納非適格です)
しかし、譲渡制限のある株式を物納するとなると一つ問題が発生します。
通常、非上場株式は同族会社が保有する「自社株」にあたり、この自社株が物納された財産の基本的な処分方法である一般入札等によって第三者の手に渡ることは大きなリスクを伴います。
しかし、この点については手当がされています。
即ち株式等が物納された場合には、課税当局から物納申請者や株式発行会社、およびその関係者に物納株式の買受け希望の是非について照会があり、1ケ月以内に買受け希望を出せば、1年以内の期限付きで株式を買い受ける(買い戻す)ことができるのです。
これをうまく利用すれば、相続時に資金が無い場合に「とりあえず」自社株を物納に出し、1年以内に買い戻すという「時間稼ぎ」ができるのです。
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