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【時事解説】2.5インチのディスプレイから見る

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記事提供者:アタックス 横山 信弘

 携帯電話における商取引の市場規模が7,229億円に到達し、ついに大手百貨店(大丸)の連結売上高に迫った。
パケット料金を定額にするサービスが各通信キャリアから打ち出され、携帯電話を利用した「お買い物」や「有料サービス利用」が瞬く間に広まったことが背景にある。

 パソコンを利用してのEコマースはすでに市民権を得ている。
楽天やYahooショッピングは親会社のメディア露出度とともに売上を拡大し、これらの巨大モールへ意味もなく訪れ、“ウィンドウショッピング”を楽しむネットサーファーも増え続けているほどだ。

簡単に記事が投稿でき、サーチエンジン対策に有効なブログが数年で爆発的に普及したように、ECサイトを容易に作成しメンテナンスできるCMS(コンテンツ・マネージメントシステム)の登場も起爆剤の一つになり得る。

一般人がブログによって突然有名人になった例もあるように、ネットへ出店する敷居が一気に低くなることによって、これまで「控え」に甘んじてきた小売店がいっせいに表舞台に出、予想もつかないようなウェーブを巻き起こす可能性も否定できない。

 こうなってくると現存する百貨店やデパートは、消費者にとって実物を“見て”“触れ”るだけの場となる日も近い。
商品の良し悪しを判断するうえで重要な「口コミ情報」や「プロからのアドバイス」が、質も量もネット社会が凌駕しているせいだ。
店頭に立つ販売員がネット上の「専門家」たち以上に知識を持ち、商品の開発秘話や具体的な活用事例が語れるほど頼りになるとは誰も信じなくなった。


 他方、携帯電話におけるネットショッピングはパソコンほどの認知度はない。
世代間格差は広がるいっぽうで、若年層に比べて中高年層の利用は極端に低い。
あの小さな液晶画面に表示された文字を読んだり、テンキーを操り文字を入力するスタイルが取っ付きにくいのが原因だろう。

しかしパソコンにはない圧倒的な手軽さがあることも事実。
すでにインターネット端末としての地位はパソコンを上回っており、昨今フルブラウザ搭載、ワンセグ対応の携帯電話も店頭に並びはじめた。
ショッピングするうえで過不足のない性能を手に入れつつあると言えよう。

 社会人であろうと、学生であろうと、主婦であろうと共通しているのは、必ずといっていいほど一日の中にいくらかの“待ち時間”を抱えていることだ。

この退屈で使い道に困った時間を、携帯電話のコンテンツは確実に埋めてくれる。
繰り返し実施されるであろう “ケータイ・ウィンドウショッピング”は、人の脳に強くイメージづけ、誰かからのメールをクリックするような感覚で購入プロセスへと引きずり込んでしまうに違いない。

 早期にケータイEコマースの市場規模が一兆円を超え、端末の性能と比例して増大していくことは明白である。

あとは世の中の経営者が、携帯電話がすでに単なる「電話/メール端末」から異常進化し、ヒトの生活には欠かすことのできない情報デバイスであるという認識を持つことができるかどうかだ。

おぞましくはあるものの、音声や文字、映像、マネー、ポイント、指示、出会い、愉楽、愛情表現等など――デジタル信号に変換できるすべての物事は、携帯電話を経由して入手できる時代になってきたのだから。




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