このたび国税不服裁判所は、過去の事業年度について、その後に欠損金額が生じていたことが判明した場合においては、更正により当該事業年度の欠損金額として確定することができる場合に限り、当該欠損金額を控除事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入できるとした裁決事例を公開しました。
この事案は、空気清浄機販売業を営む審査請求人が、更正によって判明した収益の帰属の誤りより生じた欠損金のうち、更正可能な5年より前の事業年度分について青色繰越欠損控除ができるかどうかが争われたものです。
審査請求人は、審査請求人個人が保有する著作権に係る使用料について、平成9年から平成16年まで審査請求人が営む法人の益金として算入していましたが、これについて課税当局は審査請求人個人の所得とすべきと指摘。
更正可能(5年間)な平成12年6月期から平成17年6月期までの申告について、平成17年5月31日付けで更正処分、および過少申告加算税の賦課処分を決定しました。
しかし、この処分に、本件使用料を所得から減額することによって平成10年6月期および平成11年6月期にも生じる欠損金に係る青色欠損繰越控除が含まれていなかったことから、審査請求人はこれを不服として国税不服裁判所に審査請求したわけです。
これについて国税不服裁判所は、平成10年6月期および平成11年6月期については法定申告期限から5年を経過していることから、国税通則法第70条第2項の規定により本件使用料を所得金額から減算する更正をすることはできず、そのことにより両事業年度においては、本件使用料を所得から減算することによる欠損金は生じていないことが確定しているなどとして、同審査請求を棄却しました。
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