経済産業省が平成20年度税制改正において、現在のエンジェル税制を抜本的に見直すことを要望する方針を固めたそうです。
エンジェル税制とは、個人投資家がベンチャー企業に投資した際に受けられる優遇税制のこと。
具体的には、一定の要件を満たすベンチャー企業(特定中小会社)の株式を取得した個人投資家(エンジェル)は、以下のような税制上の優遇措置を受けることができます。
<投資時点>
投資額をその年の他の株式譲渡益から控除(繰延)
<譲渡時点>
利益が発生した場合→譲渡益を2分の1に圧縮して課税
損失が発生した場合→損失の翌年以降3年間の繰越控除
ベンチャー企業の育成という観点から、経済産業省や中小企業庁は同税制に特に力を入れており、ここ数年の税制改正でも様々な税制拡充措置が行われてきています。
ところが、7月の日本経済新聞の記事によると、2006年度の同税制による投資額が前年度より46%も減少(13億円程度)したそうです。
投資額が減少したのは5年ぶりですが、これは2006年度の株式市場が若干低調だったことから、株式譲渡益を得ることができた個人株主が減少したためだと言われています。
欧米などでは、投資時点で所得税の税額控除が受けられるため、所得の多い個人投資家にとっての投資メリットが大きいのに対し、我が国では株式譲渡益からしか控除できないため、株式市場の好不調の影響を受けやすいのです。
そこで、経済産業省では税制を抜本的に見直し、欧米と同様に所得税から税額控除できる仕組みにしたい考えのようです。
具体的には、投資額の20%を所得税から税額控除(1000万円限度)する制度を、財務省に提出する平成20年度税制改正要望に盛り込むとのことです。
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