経済産業省が8月24日に公表した「平成20年度経済産業省の概算要求等について」において、「平成20年度税制改正に関する経済産業省意見」が明らかになっています。
例年、8月から9月になると、年末にまとまる翌年度の税制改正に向け、各省庁や各種経済団体、業種団体などから意見や要望が出てきます。
その中でも、経済産業省の税制改正に対する意見は、企業活動と深く関わるものが多いため、特に注目度が高いものです。
昨年度においても、減価償却制度の抜本的見直し、特定同族会社に対する留保金課税制度の撤廃、エンジェル税制の拡充、相続時精算課税制度の拡充ほか事業承継税制の見直しなどが同省の意見として出され、平成19年度税制改正で実現しています。
今回公表された「平成20年度税制改正に関する経済産業省意見」を見ると、減価償却制度の抜本改正や留保金課税の撤廃など話題性が大きかった昨年度に比べると、多少の小粒感は否めません。
ただ、中小企業を支援する税制の拡充には力が入っているようで、以下の税制等についてそれぞれ拡充が要望されています。
■中小企業投資促進税制、情報基盤促進税制
(1).支援対象の拡充
・部門間、企業間連携システム
・インターネットサービス(ASPなど)
・OSやデータベース、ファイヤーウォールなど
■研究開発促進税制
(1).試験研究費に対する税額控除限度額(現行、法人税の20%)の引上げ
(2).試験研究費の増加額に係る税額控除制度の適用期限の延長等
(3).繰越税額控除限度超過額の繰越可能期間(現行1年)の延長
■人材投資促進税制
(1).増減が定まらない中小企業の教育訓練費総額に対する税額控除制度
(2).技能承継のための教育訓練費を支援対象に追加
■事業承継税制
(1).非上場株式など事業用資産の相続税評価額を80%減額
→一定の事業継続、雇用確保が条件
■エンジェル税制
(1).投資時点での所得税額控除制度の創設
この中で目玉になりそうなのは、非上場株式などの相続税評価額を80%減額する事業承継税制の拡充でしょうか。
また、改正内容(規模)によっては、研究開発促進税制の税額控除限度額の引き上げ、増加条件なしでの教育訓練費総額に対する税額控除制度も、中小企業にとって魅力的な税制になります。
なお、これらの税制以外にも、来年3月で期限が切れる少額減価償却資産を取得した場合の特例の2年延長や、省エネ促進税制(省エネ住宅改修税制等)なども要望されています。
参考URL
平成20年度経済産業省の概算要求等について
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