先日公表された経済産業省の「平成20年度税制改正に関する経済産業省意見」によると、検討事項として「法定耐用年数区分の見直し及び短縮特例制度の簡素化等/償却資産に対する固定資産税の在り方」が検討事項として掲げられています。
法定耐用年数区分とは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(財務省令)の別表第一から第九において、設備等の種類、構造、用途、細目等ごとに規定されている耐用年数のことです。
この耐用年数に応じて企業や個人事業主は減価償却を行うのですが、このうち「機械装置」についての区分の見直しを検討すべきというのが経済産業省の意見です。
経済産業省の資料によると、我が国における機械装置の法定耐用年数は、設備の種類と細目別に390項目に区分されています。
しかし、諸外国の例を見ると、アメリカは48区分、韓国は26区分で、イギリス(定率25%のみ)と中国(原則定額法10年のみ)に至っては1区分しかありません。
このことにより、「新技術や新製品が誕生する度に区分の問題や適用する耐用年数の問題が生じ得る」ため、法定耐用年数区分の見直しを検討すべきだと同省は述べています。
ところで、同省が昨年公表した「平成19年度税制改正に関する経済産業省意見」では「償却年数を諸外国に劣らないものに見直す」ことが含まれていました。
経済界からの強い意見もあって組み込まれたもので、主要国と比べて法定耐用年数が長い設備が多い我が国の償却制度は、技術革新等の変化に対応しにくく、それでは国際的な競争力が向上しないというのがその理由です。
しかし、平成19年度税制改正で法定耐用年数が見直されたのは、フラットパネルディスプレイ製造設備など3区分のみ。
その他の設備については「今後検討する」と大綱に記載されるにとどまりました。一説には財務省の強い反対があったとも言われています。
これは推測ですが、今回の同省の意見は、「大括り」に耐用年数区分を統合することにより、最大公約数的に耐用年数が見直される(=短縮される)効果を狙ったものなのかもしれません。
ただし、同意見は検討課題として記載されていますので、平成20年度税制改正に組み込まれる可能性はやや低いのではないでしょうか。
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