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中小企業事業円滑継続法案の骨子固まる

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 政府が来年1月から始まる通常国会に提出を予定している、中小企業の事業承継を促進するための法案である「中小企業事業円滑継続法案」(仮名)の概要が明らかになりました。

 この法案は税制面からではなく、民法の側面から事業承継を促進するのが目的です。
具体的には、民法に規定され、事業承継の障害となっている相続の遺留(いりゅう)分の規定について、中小企業の事業承継時に限って特例的な扱いを認めるということです。

 遺留分とは、相続に際して法定相続人に与えられた最低限の権利のことをいいます。
もし、相続財産のすべてを誰かに相続させる遺言書があったとしても、他に法定相続人(被相続人の兄弟除く)がいれば、その法定相続人は相続財産の一定分を相続できる権利を有します。

後継者に自社株などの事業用資産を独占的に相続させることで、円滑的に事業を継続したいと中小企業のオーナーが考えたとしても、他の相続人が遺留分を要求した場合にはそうはいかないわけです。

 同法案は、この問題を解決するため民法の規定に2つの特例措置を認めるものです。
 その一つは生前贈与された自社株の評価について特例計算を認める制度。
相続税の相続時精算制度などを利用して自社株を生前贈与した場合、その自社株の相続税評価額は相続時点の評価額になります。

たとえば、生前贈与された後で株価が数倍になったような場合には、その数倍になった株価が相続財産となるため、他の法定相続人の遺留分も大きくなります。
そうなると、遺留分を支払うために事業を継続するための資産まで分割する羽目に成りかねません。
 そこで法案では、相続人の合意があれば、自社株評価を生前贈与時に遡って行うことができるようにします。
相続財産の総額が減少すれば、遺留分の負担も減少するという考え方です。

 もう一つは「事業承継契約スキーム」で、オーナーが生きている間に相続時における自社株の取り扱いを決めてしまおうという考え方です。
具体的には相続人同士が合意し、さらに家庭裁判所が認めた場合には、相続時に他の相続人が遺留分放棄の手続きをしなくても、自動的に遺留分を放棄したものとできる制度です。

 確かに、オーナーが死亡した後に発生した相続では相続争いが生じやすいため、生きている間に決めてしまえるというのは良い考えかもしれません。




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