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費用の計上日は「基本的には」発生基準

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 会計上、収入や支出をいつ計上するかという基準には、大きく分けて「発生主義」と「現金主義」があります。

 発生主義とは、収入や支出があった日ではなく、収入や支出の発生する事実があった時点で計上するという考え方で、我が国の企業会計における基本原則のひとつです。

 たとえば費用の場合、現金取引であれば購入の事実(商品の受け渡し等)があった日と支出した日が一致します。
しかし、代金を前払いしたり、掛けで買ったりした場合は一致しません。
このような場合、購入の事実があった日を費用の計上日とする考え方が発生主義です。

 これとは逆に、収入や支出があった日を計上日にする考え方を現金主義といいます。
わかりやすくいえば家計簿がこれにあたります。
基本的に我が国の企業会計では認められておらず、税務上も小規模個人事業者(前々年の事業所得と不動産所得が合計300万円以下)にしか認められていません。

 従って、単純に商品やサービスを「売った」「買った」という取引であれば、基本的に発生主義の考え方で費用の計上日を決めても差し支えはありません。(家賃や保守など継続的なサービスの提供に係る費用については注意する必要があります。)

 ただし、税務においては「債務確定主義」という考え方があります。
税法や通達には必要経費(損金)にできる費用について「債務の確定しないものを除く」(法法22-3)、「その年において債務の確定しているものに限る」(所基通37-1)という規定があります。

 これは、費用は法的な支払い義務(債務)が確定した場合に限り計上できるという考え方で、1)債務の成立、2)原因事実の発生、3)金額の確定、の3要件が必要だとされています。

 たとえば固定資産税の場合、原因事実(資産の所有)や金額(税額)は、その年の1月1日で確定しますが、実際に債務が成立するのは自治体からの「賦課決定通知」がなされる6月(東京都の場合)です。

従って、支払った固定資産税はその6月の含まれる事業年度に費用として計上することになります。
また、先々の費用の見積もり計上である引当金はそもそも債務ですらないため、貸倒引当金と返品調整引当金を除き必要経費(損金)にはできません。
減価償却費も債務ではないという意味では同様ですが、債務確定主義の枠外となっています(法法22-3)。

 さらに、会計原則には「費用収益対応の原則」(収益を上げるために支出した費用は、その収益を計上した事業年度に計上する)、「継続性の原則」(いったん採用した会計処理の原則及び手続については毎期継続して適用する)などもあります。

 なかなか一筋縄ではいかないのが、費用計上日の取り扱いです。




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