このたび国税庁は、一定の場合において相続税の小規模宅地等特例の取扱いを変更することを明らかにしました。
これは、1月23日の最高裁判決で同特例に係る国税当局の従来の取扱いが否定されたことによるものです。
小規模宅地等の特例とは、個人が相続した財産のうち事業用または居住用として供されていた宅地等の相続税評価額を50%〜80%減額できる特例です。
複雑な適用要件が定められているものの決して敷居の高い制度ではなく、減額割合も大きいことから相続税が発生するようなケースでは良く利用されています。
今年1月23日の最高裁判決は、公共事業による土地区画整備により更地になった土地について、同特例が適用できるかどうかという事案でした。
というのも、宅地で同特例の適用を受けるためには「居住用建物の敷地として使用されることが外形的、客観的に明らかになっている」ことが要件となっているからです。
しかし、同事案においてはその土地および仮換地は公共事業による土地区画整備という「やむを得ない事情」によって更地になっていたのであり、そのことを以て同特例の適用ができないというものではない、というのが最高裁の判断でした。
今回の国税庁の対応はこの判断に伴うものです。
即ち、「土地区画整理事業等の施行による仮換地指定に伴い、従前地及び仮換地について相続開始の直前において使用収益が共に禁止されている場合」においては、同特例の適用を認めることができない「特段の事情」が無い限り、同特例の適用を認めることにしたわけです。
ちなみに、この場合において「特段の事情」とは、「仮換地を他人に貸すことが決まっている」とか「仮換地以外の土地に居住用(事業用)の建物を建てている」ようなケースだと思われます。
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