現在、厚生労働省(厚労省)の諮問機関である社会保証審議会の年金部会では、パート労働者に対する厚生年金の適用範囲を拡大することを検討しています。
具体的には、「正社員の4分の3かつ週30時間以上」働くパート労働者が対象となってる現在の厚生年金加入条件について、「正社員の半分かつ週20時間以上」に引き下げようという動きです。
本来は2004年の年金制度改革時に実行される予定でしたが、産業界からの強い反発もあって、「2009年をめどに再検討する」と先送りされた経緯があります。
パート労働者の比率が高まる中、一定以上のパート労働者の待遇を正社員並みに引き上げ、結果として厚生年金の加入者数を増やすというのが厚労省の狙いです。
しかし、1月18日に同部会が業界・労使関係団体に実施した意見聴取では、パート社員を多数雇用している外食産業の業界団体が「店舗閉鎖に追い込まれる」と猛反発するなど、産業界の反対は根強いようです。
また、パート労働者には国民年金第3号被保険者として保険料を免除されている人、また短期でのパート労働を考えている人もいて、一概にメリット・デメリットを論ずるのは難しいという側面もあります。実現のハードルは決して低くはありません。
こうした状況の中、厚労省は年金適用範囲の拡大が実施された場合、健康保険組合や政管健保への加入も対象とする方針を打ち出しました。
企業は年金と健康保険を一体的に運用しているため、扱いを変えるべきではないというのが理由です。
さらに、介護保険を対象とする案も出ています。
これら全てが実現すると、企業が支払う料率は14%〜16%になりますし、パート労働者の手取り額も大きく下がることになり、さらに大きな反対運動が予想されます。
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