先日閉会した通常国会で「電子記録債権法」が可決・成立しています。
電子記録債権法とは、手形や売掛金などの債権を電子化。
インターネットを介して取引できるようにする法律で、中小企業における新たな資金調達のツールとしても期待されています。
施行は公布の日から1年6ヶ月以内とされていますが、2008年中には施行される予定です。
この法律に基づいて電子化された債権のことを「電子記録債権」と呼びます。
電子記録債権の対象となる債権はすべての金銭債権です。金銭債権とは金銭の給付を目的とする債権のことで、預金・受取手形・売掛金・貸付金・未収入金などをいいます。
これらの金銭債権が、債権者と債務者双方の請求によって電子記録債権にすることができるわけですが、電子記録債権となった時点で、もとの金銭債権とは別の債権として取り扱われることになるようです。
つまり、電子手形とか電子貸付金といった概念はなく、すべて一意の電子記録債権として取り扱われるのです。
この取扱いは、手形とその手形のもとになった売掛債権との関係によく似ています。
そもそも、この電子記録債権法は、企業は借入金以外の資金調達手段を持つべきだという意見から、経済産業省が法律化を推進してきたものです。
なぜ、債権が電子化されると資金調達手段が増えるのかというと、従来は譲渡の対象になりにくかった、売掛債権などの譲渡がしやすくなるからです。
また、その手続きも飛躍的に簡素化され、スピーディになります。
さらに、電子記録債権に質権を設定して、融資の担保とすることも可能です。
その他、電子記録債権には、印紙代などの発行コストが削減でき、紛失盗難リスクがなくなるといったメリットもあります。
また、万が一不正に電子記録債権が記録、譲渡されて損害が生じた場合でも、その不正の証明責任は電子債権記録機関にあるとされています。
ただ「詐欺に利用されやすいのでは?」など、いくつかの懸念を上げる声もあり、実際に普及するかどうかはまだ未知数といったところでしょうか。
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