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法定利率引き下げへ

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 法定利率が1896年の制定から約110年振りに、見直されることになりそうです。

 法定利率とは法律で定められた利率のことです。
民事については民法404条に年5%、商行為については商法514条に年6%と定められています。
友人同士の金銭貸借などでは、借用書を作成しなかったり、金利を記載しない場合がよくありますが、このような場合に適用されるのが法定金利です。

 ただ、法定金利が主に使われているのは裁判においてです。
損害賠償訴訟などの判決文では「原告●に対し金●万円及びこれに対する平成●年●月●日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え」という表現が良く見かけます。
この「年5分=年5%」は法定利率のことです。つまり、訴訟による損害賠償金等は法定利率を付けて支払うことが慣例になっているわけです。

 法定利息が見直す動きが出てきているのは、年5(6)%という利率が市中金利よりも著しく高いからです。
現在の銀行預金金利は普通預金で約0.2%、定期預金でも0.25〜1%、国債でも1〜1.5%くらいです。(実績)利回り5%以上の金融商品もありますが、ハイリスクハイリターン型のものがほとんどでしょう。

 損害賠償等に付く金利は、被害者は損害が無ければ得ていたお金を運用して増やせていたのだから、その分も合わせて賠償しなさいという意味です。

しかし、この場合に適用される法定金利は銀行等の金利に比べて非常に有利です。
たとえば1億円の損害賠償であれば年500万円(単利の場合)もの金利が付きます。
そのため、訴訟を意図的に長引かせて金利を稼ごうと考える人もいるようです。

 また、交通事故や傷害、致死事件などの訴訟では、被害者が被害にあわなければ、これから先に当然得られたであろうとされる逸失利益を計算することになります。

ただ、逸失利益は将来得られる利益を先に受け取ったものとして、民事の法定利率5%分を控除(中間利息の控除)されることになっています。見方によっては、被害者は金利5%という市中金利に比べて非常に高い利率で、資金を運用するものとみなされるわけです。
これでは、交通事故等の被害者にとっては不利だという声は大きいようです。

 このような事情から、法務省は民法で規定された法定利率5%を引き下げる方針を固め、2009年の法改正を目指しているそうです。




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