名古屋国税局管内の420人余りの個人投資家が、平成17年度までの3年間の株取引の譲渡所得について、総額70億円もの申告漏れを指摘されたことが報道されています。
最も申告漏れの額が多かったのは、株のクロス取引で得た10億円の利益を申告しなかった会社役員だそうです。同会社役員が手持ちの株式をクロス取引したところ、その株式が取得時より大幅に値上がりしていたことから売却時に多額の利益が生じました。それを申告していなかったのです。
その他、「利益の計算をしていない」や「利益が出ているとは思わなかった」などの理由により申告をせず、申告漏れを指摘された人が約410人、書類等を不法に処分するなどして悪質な所得隠しと指摘された人も10人いました。
昨年10月には、大阪国税局が約4000人の個人投資家に対して200億円の所得漏れを指摘していたことが明らかになりました。
また、国税庁によると、平成18年6月までの1年間に指摘された申告漏れのうち、株式や投資信託に関連する申告漏れが前年の約3倍(236億円)にも上っています。
この要因の一つは、平成15年1月に変わった株式等の譲渡所得に対する課税方法にあります。
それまでは株式等の売却額に課税されていたのが、利益(所得)に対して課税されるようになったのですが、古くからの投資家の中にはその変化にまだ対応しきれていない人がいるようです。
また、最近ネットなどで株取引を始めた人の納税意識の低さも指摘されています。
証券会社には、株取引の明細を記した支払い調書を国税当局に届ける義務があります。
国税当局はそれを元に調査を行うため申告漏れを見つけるのは簡単だといいます。ご注意ください。
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