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課税当局が勧める「利益操作」

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 日経新聞記事の語句解説によると、移転価格税制とは「企業が海外にある子会社などを通じて所得を減らし、税額を圧縮するのを防ぐための税制。

関連会社との取引価格が、別の企業との通常取引価格と異なる場合に適用される。」と説明されている。

字面だけ読むと、海外進出企業が利益の付替えにより税金逃れを行うことを防止する目的の税制のようだが、実際はそう簡単ではないようだ。

 大きな要因としては、企業が他社との競争において利益を追求していく中で「通常取引価格と異なる」かどうかの検証を企業サイドで行うことは殆ど不可能なことにある。

日本でも税制上の取引価格の算定方法について、商品の価格設定方法を重視した手法から、国内の会社と国外関連会社のそれぞれの機能からみた対象取引にかかる営業利益率の水準を基に、同業他社の利益率水準との比較によりそれを超えた分につき課税するという手法に代わってきている。

記事にある中国での「5%のみなし利益率」の話も同様の動きで、5%未満の企業は5%との差額を課税対象にしますよ、と言っているのである。

こうなると、企業が「利益操作をして税金を減らす」のではなく、いかに日本と海外の双方の税務当局が満足する利益水準にコントロールしていくかが求められているということになる。
為替や価格競争による環境の変化に対応しつつ、万国が納得する共通ルールもない中で、である。

 平成19年の税制改正では、移転価格税制の相互協議に係る納税猶予制度が導入され、企業側の負荷を軽減する措置が一部取り入れたものの、更なる制度改善が望まれるが、企業サイドも該当する取引がある場合には備えを怠らないようにしたいところだ。




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