中小企業でも、複数の子会社や関連会社を持つケースは少なくありません。
複数の事業を営んでいる場合、事業ごとに会社を分割するケースが多く、そのほか会社の機能(営業、仕入、管理など)ごとに会社を分割しているケース、担当地域別に会社を分割するケースなどがあり、なかには大企業のように持ち株会社を設置している中小企業もあります。
このように分社化するメリットとしては、事業的な側面、事業承継の側面、節税の側面などがあるといわれています。
まず、事業的なメリットですが、事業自体を法人化することによって、責任と権限が明確になることがあげられます。
民間企業における大きな目的は会社全体の利益を上げることのため、会社内の一事業部などに対する業績評価は甘くなりがちです。
分社化することによって、業績に対する責任と権限が明らかになりますし、事業が集中すれば結果的に意思決定が早まり、経営スピードを上げることが可能です。
さらにグループ内での競争意識が芽生え、相乗効果が発生するようなら言うことはありません。
次に、事業承継の側面ですが、複数の後継者がいる場合には、分社化しておくことで相続争いなど未然に防ぐことができる場合があります。
また、分社化した会社を後継者に任せて経営の勉強をさせることもできますし、持株会社を作って、オーナーが全体を統括するような体制をとることも可能です。
さらに、社歴の長い会社、業績が良い会社、保有資産等の多い会社などは、自社株の相続税評価額が高くなりがちですが、分社化することで株価を低下させるオペレーションをとり、相続税を節税して後継者の負担を軽減できる可能性もあります。
最後に節税の側面ですが、一般的には分社化=会社の小型化ですから、これを利用した各種税額軽減策(軽減措置や軽減税率)の活用などが可能になることが通常です。
また、濫用は危険ですが、グループ会社間の取引を利用した軽減策も考えられます。
さらに、連結納税を選択すれば、赤字子会社と黒字子会社の損益を通算して、納税額を軽減することも可能になります。
もちろん、分社化でデメリットが発生するケースもあります。
子会社間でセクショナリズムが発生して事業に悪影響が出ることがありますし、事務コストや人的コストなどが肥大化したり、意思決定のミス、資金繰りの失敗、情報秘匿などの経営リスクが増大してしまうケースもあります。
分社化にあたっては、こうしたデメリットも考慮に入れて、綿密に計画する必要があります。
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